チーム側とFIAの間でバジェットキャップ制の導入をめぐり対立が生じていたが、FIA会長マックス・モズレーによると、妥協策は見いだされ、両者は合意に近づいているという。それによって、予算制限の導入は2011年に延期されることになるかもしれない。

 モズレーは、F1を存続させ、新たなチームを招き入れるには、コスト制限が必要であると主張、しかしチーム側は、任意の予算制限というシステムによりF1が二重構造の選手権になることに懸念を表明、さらに現在年間2億ポンドの予算で戦っている大手チームは、1年足らずのうちにFIAが定めた4,000万ポンドの制限額まで予算を落とすのは無理であるとも主張している。

 モズレー、F1の商業権所有者であるバーニー・エクレストン、フォーミュラワン・チームズ・アソシエーション(FOTA)が長時間にわたる協議を繰り返した結果、合意が公式に発表できる日も近いのではないかとの推測が出てきている。その合意には、バジェットキャップ導入を2011年に延期すると共に、モズレーのF1における支配力の縮小も盛り込まれていると言われている。2007年にコンコルド協定が失効した後、モズレーは自らの立場を利用して新たな規則を強行してきたとして、非難が集まっている。
 さらにチームは、エクレストンのフォーミュラワン・マネージメント(FOM)から得る収益金の分配を増やすという、以前からの要求を通すことになるとも見られている。
 詳細はまだ明らかになっていないものの、合意が達成されれば、フェラーリ、トヨタ、ルノー、レッドブルのF1撤退を防ぎ、シリーズの分裂が避けられることになるだろう。

「ゆっくりとではあるが、我々は全員が合意できる状況へと近づいている」とモズレーはBBCスポーツに対してコメントしている。
「2010年の1年をはさみ――それについてはまだ協議中であるが――、2011年にその額(4,000万ポンド)に達するということになる。最終的にはその程度の額に達しなければならない」
「彼ら(チーム)はF1コミッションおよびコンコルド協定が失効する以前のシステムに戻り、すべての規則を自分たちでじっくり検討することを望んでいる。我々からすれば、それは非常にうんざりするようなプロセスだが、実際に機能はする」
「建設的な雰囲気であり、全員が合意を望んでいる。極めて大きな進展があり、いまや解決法が見えている。意見の基本的な相違は一切ない。現時点で豊富な資金を持っているチームも、他のチームはそうではないことを理解しており、グリッドをすべて埋めておくには、コストを下げる必要があることは分かっているのだ」

 2010年のエントリー締め切りが5月29日に迫っている中、モズレーは、ほとんどのチームがエントリーを提出するだろうと予想しながらも、現在の不況の影響で2009年末でひとつかふたつのマニュファクチャラーを失う可能性もあると認めている。
 来年は最大26台の参戦台数が認められるものの、もし今の20台を下まわるようであれば、サードカーでルーキードライバーを走らせるチームに、撤退したチームの分配金を与えるという規則ができるとのウワサもある。

 一方、マクラーレンのチームプリンシパル、マーティン・ウィットマーシュは、合意に至るまでにはまだ解決しなければならない問題は多いと述べている。
「F1がひとつのレギュレーションの下で行われるべきであるという点は全般的に受け入れられていると思うが、他に多くの問題がある」とウィットマーシュ。
「会合には建設的な部分もあったが、すべてが合意に至ったわけではない」
「F1を生き残らせ、前進させるための方法をどう確立すればいいのかについて、まだ基本的なところで食い違いがある。これを解決するために協力して取り組んでいかなければならない。このスポーツにかかわる我々全員が、前向きな手段を見いだす責任を担っている」

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