2012年シーズンのWTCC世界ツーリングカー選手権は最終戦のマカオですべての日程を終えオフシーズンに突入したが、来季、そして2014年に向けた移籍動向に注目が集まっている。
今季のWTCCは最終戦マカオでロバート・ハフがチャンピオンを獲得、例年同様シボレーワークスであるRML所属のドライバーによって上位が占められることとなったが、7月に発表されたとおりシボレーのワークス活動は2012年いっぱいとなっており、3人の動向が注視されている。
2005年からRMLに所属し、今季王者となったハフは、英AUTOSPORTのインタビューに答え、「今はいくつかの異なる事柄を交渉しているが、今の段階では契約できるものは何もないんだ」と語り、来季に向けてまだ決まっていることはないとしている。
ただ、AUTOSPORTは来季に向けてRMLが2台のシボレー・クルーズを使ったプライベーターとしての参戦を計画しており、この1台をハフがドライブし王座防衛を目指すというオプションがあるとしている。また、ハフはオーストラリアV8スーパーカー参戦や、アメリカン・ル・マン・シリーズの可能性があるとしている。
一方、ランキング2位のアラン・メニュについては、既報の通りWTCC参戦を目指すメーカーでの開発ドライバーか、ヨーロッパ以外での活動を模索しているという。さらに去就について注目を集めているのは、3度の王者に輝きこれまで29勝を挙げているイバン・ミューラーだ。
フランス人のミューラーについては、2014年から参戦を計画しているとされているシトロエンへの加入が噂に上がっているものの、現段階でこの噂を否定した。
「シトロエンにはすでにひとりドライバーがいるだろう!?」とシトロエンとともにWTCCに移ると言われるセバスチャン・ローブを示唆したミューラー。
「シトロエンは2014年に向けてどういったドライバーが必要なのかまだ決めていないだろう。ただ、自分は彼らが探すであろうドライバーのひとりなんじゃないかとは思うけどね」
また、WTCCのパドックではシトロエンをはじめとした2014年に向けた動きについても注目が集まっている。現在カスタマーサポートに徹しているセアトについては、2014年まで新車を出さないのではないかと推測される一方、touringcartimes.comはルノーが2014年にWTCCに参戦するのではないかと報じている。
このルノーの活動は、今季までシボレーのワークス活動を担ってきたRMLが担うとtouringcartimes.comでは伝える。実際にRMLは今季ル・マンに参戦したニッサン-デルタウイングが搭載していた1.6リッター直噴ターボエンジンを開発しており、このニッサンエンジンを改良し、同じグループであるルノーが積むのではないかとされている。RMLは1年間クルーズをプライベートで走らせた後、14年からルノーとして参戦するのではないかというものだ。
いずれにしても2014年はFIAによる新たな技術規定が発効されるとされており、セアト、シトロエン、そしてルノーともにこの新規定を見据えた参戦になるだろう。来季からフル参戦を開始するホンダを中心としたWTCCの新しいパワーバランスに注目だ。