今週末の9月19日〜20日にスポーツランドSUGOで開催されるスーパーGT第6戦。ドラゴ モデューロNSX CONCEPT-GTを駆るオリバー・ターベイにとっては、毎年波乱含みの展開となるSUGO戦に初めて挑むことになる。
イギリスF3やGP2で腕を磨いたターベイは2010年にマクラーレンの開発ドライバーとして契約。これまで実走テストやシミュレーターを使ってチームをサポートしてきた。また一昨年からル・マン24時間レースのLMP2クラスに参戦。昨年はクラス優勝を果たし、今年も終盤の目覚ましい追い上げてクラス2位を獲得した。そのターベイが今年、新たな挑戦の場としてスーパーGTに参戦を開始。これまでフォーミュラカーを中心に活躍してきたターベイにとっては、この日本でのレースは新たなステップであり、刺激を受ける場になっているようだ。
「これまではシングルシーターがメインでレースをしてきた。特にマクラーレンとテストドライバー契約をしてからはトップクラスのエンジニアたちと仕事していく中で多くのことを学ぶことが出来たし、それが今の自分のレースでも役に立っている」
「ここ数年は新しいステップとしてスポーツカーにも挑戦している。その中でもスーパーGTは特にレベルが高いね。マシンは世界一と言っても良いくらい速いツーリングカーだし、日本のドライバーたちのレベルも高い。またタイヤメーカーも複数参戦しているからタイヤの進化を毎回走る度に感じる。これは他のレースでは体験することができない。常に刺激を受けているし、毎回スーパーGTのレースウィークエンドを迎えるのが楽しみだよ」
インタビュー中も笑顔が絶えず、日本でのレースを楽しんでいる様子のターベイ。異なるふたつのクラスが混走しながらバトルをしていくというのがスーパーGTの最大の魅力であるが、ル・マンも同じように複数のクラスのマシンが参戦し混走状態となる。しかし、ターベイにとって、スーパーGTの混走は全くの別物だという。
「ル・マンもプロトタイプカーとGTカーが参戦してミックスで走るけど、スーパーGTの場合は2クラスのスピード域が比較的近くて、常に毎周にわたってGT300のマシンを追い抜きながら走っていかなければいけない。少しの判断ミスでタイムロスになって順位にも影響してしまう。混走はル・マンでの経験が役に立っているね。狭いコースでバトルをしながらGT300マシンを抜いていかなければいけないから、とてもエキサイティングだし、他のカテゴリーにはないレースの魅力のひとつだと思う」
そして迎える今週末のSUGO。事前に同サーキットでの公式テストが7月末に行われ、ターベイも参加。初日はチームのテストプログラムを順調にこなしたが、2日目にレインボーコーナーでスピンしクラッシュ。マシンを大きく壊してしまった。
「SUGOは全体的にコース幅が狭くタイト。コーナリングスピードも高くて、まさにオールドコースという印象。本当にチャレンジングだし自分にとっては大好きなコースだね。テストでは初日はロングランもこなせたし充実したものになったけど、2日目にレインボーコーナーでコースオフしクラッシュしてしまった。コース幅が狭いからほんの少しラインを外しただけでコースオフにつながり、バリアとの間も広くないからクラッシュにつながってしまう」
このテストでは他にも様々な場所でアクシデントが発生。それだけコース幅やエスケープゾーンが狭いSUGOは、わずかなミスがクラッシュにつながってしまう。それを感じたターベイは、テストでの出来事を失敗で終わらせるのではなく、経験として本番のレースで役立てようとしている。
「その週末は僕だけではなくて多くのマシンがアクシデントに見舞われ、簡単にコースオフしていた。それだけ攻め込むとリスクが高いサーキットなんだということを感じたよ。もちろん実際のレースではGT300と混走しながらのバトルになるから、そのリスクはさらに増えるね。このテストで学んだことを活かして、今週のレースでは、まずはコースに留まる事に集中してベストリザルトを目指したい」
SUGOの攻略だけでなく、ハイレベルな混走や1アタック勝負となる予選でのパフォーマンスの出し方など、レースごとに経験を重ねているターベイ。これらの経験が今週末のレースでどう活かされるか、彼の走りから目が離せない。