ルノーは2015年シーズンが始まる前にワークスチームとしての復帰を決断しており、そのためにF1エンジン開発のための支援を拒否したと、レッドブルのクリスチャン・ホーナーは言う。
2015年の序盤に、ルノーがエンジンサプライヤーとしての役割を脱して、3度目となるワークスチーム運営を計画していることが表沙汰になった。彼らの姿勢がレッドブルとの関係に影響したとホーナーは考えている。
「我々が提供しようとした技術力、シミュレーション能力をルノーが十分に採用したと感じたことはなかった。ルノーが単なるサプライヤーとしての立場に、かなり早い時期から満足していなかったことは明らかだ。ルノーは昨年(2014年)終盤から、再度エントラントとして参戦する考えを持っていた」
ルノーF1パワーユニットのパフォーマンスと進化に不満を抱いていたレッドブルは、イルモアのチーフであるマリオ・イリエンを迎え入れ、チーム内でエンジン部門を結成して、開発のサポート役とした。ルノーはロータスを買収し、来季からワークスチームとして参戦していくが、イルモアは同社との提携を続けるとしている。しかし、ホーナーは当初ルノーはイリエンの関与を歓迎していなかったという。
「2014年の終盤にかけて、ルノーは経営面でいくつかの変更があり、ひどくたくさんの話し合いが行われていた。我々はマリオ・イリエンを紹介したが、当初から彼の加入には反対意見があったんだ。それでサポートのためにエンジン部門を結成した。(レッドブルの拠点である)ミルトンキーンズと(ルノー・スポール本拠地)ビリーシャチオンとの関係は、あまりスムーズではなく、フラストレーションが生じたことは明らかだ」
「レッドブルを技術パートナーとして完全に受け入れることに対しては常に抵抗があり、技術面やエンジンの弱点がどこにあるかについて意見の食い違いが見られた。マリオはルノーのコンセプトを開発し、並行してルノーは独自のプロジェクトも進めており、その産物がDスペックだった。我々はエンジン部門の結成や専門家の雇用など、かなり多くのリソースを注ぎ込み、キャパシティの拡充に努めてきた。だからこそ、何も成し遂げないルノーに対して苛立ちを覚える」
レッドブルは代替エンジンを確保するための努力が、すべて失敗に終わり、来季もルノーとの関係を継続することになった。新たに契約内容が見直され、タグ・ホイヤーのバッヂをつけたV6エンジンを使用する運びとなるが、両者の関係は依然スムーズではないようだ。