ピレリはカナダGPでタイヤを変更することを希望しているが、一部チームが難色を示し、フォース・インディアははっきりと反対の意を表している。
今季のタイヤはデグラデーションが高く、何度かデラミネーションのトラブルも見られている。スペインGPで4回ストップが主流となった後、ピレリはタイヤ交換の回数を減らすためにカナダからタイヤを変更すると表明した。
しかしデグラデーションを軽減しピットストップの回数を減らすための変更はレギュレーションに反するものであり、FIAはピレリに対し、安全性の確保のみを目的とした変更を行うよう指示した。
そのためピレリは、デラミネーションの問題再発を防ぐためにリヤタイヤのスチールベルトを昨年末まで使用していたケブラーのものに変更することを考えており、全チームの同意を得ようとしている。
しかしリヤタイヤのスチールベルトの変更により作動温度領域が下がり、メルセデスなど現在リヤのオーバーヒートに苦しむチームが有利になり、チームの力関係が変化する可能性がある。そのため、今のタイヤをうまく使えているロータスとフェラーリはタイヤの変更に対して慎重な姿勢を示し、今季非常に好調なフォース・インディアははっきりと否定的な意見を表している。
また、ピレリのモータースポーツディレクター、ポール・ヘンベリーが最近、タイヤによる安全性の低下を否定する発言をしているため、「安全性向上のためのタイヤの変更」という理由に対して疑問が呈されている。
FIAがタイヤ変更を支持しているため、フォース・インディアが拒否権を主張することはできないとみられるが、ピレリは全チームの同意を得たいと考えている。モナコGPの木曜にヘンベリーはフォース・インディアのモーターホームを訪れ、チーム副代表ボブ・ファーンリーと話をした。
しかしファーンリーは、タイヤの変更に反対し、変更するのであればその前にカナダで全チームに新タイヤのテストをする機会を与えるべきだと主張した。
「今の2013年用タイヤで走り、ピレリがテストタイヤを用意できるのであればそれを我々でテストし評価すべきだと、私は考える」とファーンリー。
「ピレリは自身のイメージを守ろうとしている。彼らはデラミネーションを起こすタイヤを見たくない。安全性の理由ではないのだ」