今週末に鈴鹿サーキットで開催されるWTCC世界ツーリングカー選手権の日本ラウンドに、ホンダ・レーシング・チームJASからスポット参戦する伊沢拓也がレースウイークに向けて抱負を語った。
本番でカーナンバー99のシビックWTCCを走らせる伊沢は、初のWTCCとホームレースを前に興奮しているかとの問いに、次のように答えた。
「とても興奮しています! どれだけうまくやれるか分かりませんが、この機会を与えてくれたホンダとホンダレーシング・チームJAS、および関係してくれたWTCCの皆さんには感謝の気持ちを伝えたいと思っています」
ふだんからWTCCを見ているという伊沢は、印象的なドライバーとしてホンダのドライバーの名前を挙げた。
「定期的にインターネットでホンダのドライバー3人の結果をチェックしています。特にガブリエル・タルキーニには感銘を受けています。彼はとても経験豊富で、常にトップのポジションを争うことができますからね」
伊沢は昨年、ポルトガルでシビックWTCCのテストを行っているが、マシンの印象についてはこう語っている。
「挙動はユニークで、常にスピンアウトするぎりぎりという印象でした。なので、古いタイヤからニュータイヤに履き替える時は、その扱いが大きく違ってくることが分かりました。あと、JASチーム(ホンダ・レーシング・チーム・ヤス)のプロフェッショナリズムにも感動しましたね」
日本でドライブするスーパーGTマシンからFF(前輪駆動)のシビックWTCCに乗り換えるのは容易ではないが、彼はドライビングスタイルを適応させる必要があると語る。
「2種類のクルマについて、ひとつは後輪駆動のGT、もう一方は前輪駆動のサルーンです。確かに自分のドライビングスタイルを適応させる必要がありますが、完全にシビックWTCCを理解できたというわけではありません」
また、WTCCのスケジュールは新たに参戦するドライバーにとって十分な走行時間があるとは言えないが、それについては次のように続けた。
「WTCCはとてもコンペティティブな選手権です。仕事ができるまでには多くの練習が必要でしょう。僕はFFのレーシングカーをテストする十分な機会がなかったので、慣れるにはある程度の時間がかかると思いますが、チームと自分自身のスキルを信じているので、ベストを尽くせると思っています」
シビックWTCCをドライブする伊沢のもとには、ガブリエル・タルキーニとティアゴ・モンテイロというワークスドライバーふたりがいる。伊沢はできるだけ多くのことを彼らから学びたいという。
「昨年初めてクルマをテストしたとき、彼らはふたりとも非常に親切で多くのアドバイスをくれました。しかし、実際のレースウイークでそれと同じことを期待するべきではないと思っています。彼らはとても忙しく、自分たちのパフォーマンスに集中するからです。ですから、彼らがどんなドライビングをするのかをこの目で見て、できるだけ限りのことを学ぼうと思っています。あと、データロガーを読んだりテクニカルブリーフィングの間にも彼らの話に耳を傾けようと思っています」
最後に、本番のレースで期待する結果について、伊沢はこう結んでいる。
「いい結果を出すことはとても難しいことだと想像しています。ですが、僕が育ったこのサーキットで戦うことは、自分にとっての新たな冒険です。この経験は、将来のキャリアを築く上で役立つと確信しています。簡単でないことは分かっていますが、表彰台を獲得することができたらと思っています」