IZODインディカー・シリーズ第9戦『ミルウォーキー・インディフェスト』は15日、250周の決勝レースが行われ、ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)が2年連続優勝。シーズン2勝目を飾った。佐藤琢磨(AJフォイト)はトップを快走するも、不運のイエローにより7位でチェッカーを受けた。

 今年は250周で争われた、伝統あるミルウォーキーの1マイルオーバルでの決勝レース。ポールスタートからレースをリードしたのはマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)だったが、61周をトップで走行するも、ピットで給油ホースが抜けなくなるトラブルで遅れたうえ、電気系トラブルでギヤチェンジが行えなくなり、優勝争いから早々に脱落してしまう。

 レースはその後、序盤21周目からのフルコースコーションを利用してピットストップを行った佐藤琢磨が69周目にトップに躍り出る。その後109ラップをリードしてキャリア2勝目、オーバルでの初優勝に向って突っ走っていた。

 2番手で琢磨を追っていたのは、琢磨と同じピットタイミングで上位に進出したエリオ・カストロネベス(ペンスキー)。そして、3番手には上位スタートから正攻法で戦い続けたハンター-レイが浮上してきた。しかしカストロネベスには琢磨を攻略するだけのスピードがなく、後方からハンター-レイが差を縮めてきていた。後半に向け、勝負は琢磨vsハンター-レイになる可能性が強いと思われた。

 トップを行く琢磨はバックマーカーに進路を塞がれた上、ゴールまで80周を切ったところでマシンのハンドリングが悪化。急にオーバーステアが強まり、183周目のターン4でクラッシュしかける事態となった。そこで琢磨とチームは大胆な作戦に出た。最後のピットストップを行うタイミングを早めフレッシュタイヤを装着し、マシンセッティングも変更して終盤の追い上げ、そして逆転での優勝を狙ったのだ。ライバル勢ももう1回は必ずピットストップを行う必要があり、琢磨陣営には十分な勝算があった。

 200周を終えたところで琢磨はピットへ。素早い作業でコースへと復帰した。ところが、211周目にターン4でアナ・ベアトリス(デイル・コイン)がクラッシュし、フルコースコーションが出されたのだ。これは琢磨にとって致命的だった。ライバル勢もグリーン下でピットストップを行うという条件にのみ琢磨の勝機はあったのだ。ロングランとなったファイナルスティントで琢磨はライバルたちを凌駕する戦いをみせることに賭けていたのだ。

 先にピットストップを行ったために、1周遅れに陥っていた琢磨は、このコーション中にピットしないことでリードラップに復帰することはできた。しかし、先頭グループとの間には多くの周回遅れが挟まり、タイヤも自分だけが15周ほどすでにこなしている状況だった。ゴールまでの残り周回が30ラップもあるのは、逆転優勝どころか、逆に7番手のポジションさえ保てるかが微妙となっていた。

 最後のトップ争いはハンター-レイとカストロネベスの間で繰り広げられることとなった。ハンター-レイはリスタートでトップを守り、ファステストラップを記録して逃げ切り。4.8059秒の大差をつけてミルウォーキーで2年連続優勝を飾った。シーズン2勝目を挙げたハンター-レイは、ポイント争いでも2番手へと浮上した。去年はミルウォーキーでの優勝からアイオワ、トロントと連勝し初タイトルへと突っ走った。今年もその再現がなるだろうか。

「チーム力の勝利だ。今日のレースではグリップが変化し続け、マシンをそれに合わせるのが本当に難しかった。僕らはピットストップでのセッティング変更でそれに見事に対応していた」とハンター-レイはレース後、勝因を語った。

 3位でゴールしたのはウィル・パワー(ペンスキー)。ピットタイミングの違いから一時は周回後れに陥っていたが、粘り強く走り続け、最後のフルコースコーションも味方につけて2位の座をチームメイトと争った。シーズン9戦目にしてようやく初めての表彰台に上ったパワーのランキングはまだトップ10圏外だ。

 琢磨はレース後、マシンのハンドリング悪化を悔しがった。「原因はまだ分かっていません。どうして急にハンドリングが悪くなったのか。それが悔しい」と琢磨。それでも琢磨はポイントランキングを5位から4位へとひとつ戻している。ホンダ勢のポイント首位が琢磨なのだ。

本日のレースクイーン

神宮沙紀しんぐうさき
2025年 / スーパーGT
NICO girls
  • auto sport ch by autosport web

    RA272とMP4/5の生音はマニア垂涎。ホンダF1オートサロン特別イベントの舞台裏に完全密着

    RA272とMP4/5の生音はマニア垂涎。ホンダF1オートサロン特別イベントの舞台裏に完全密着

  • auto sport

    auto sport 2025年7月号 No.1609

    【特集】LE MANS 2025
    “史上最混戦”の俊足耐久プロト頂上決定戦

  • asweb shop

    STANLEY TEAM KUNIMITSUグッズに御朱印帳が登場!
    細かい繊細な織りで表現された豪華な仕上げ

    3,000円