可夢偉のスペインGPは34周目の1コーナーで、左フロントのブレーキディスクが砕け散った瞬間に終わった。

「あんな経験は初めて。最高速が出ているストレートエンドだったから、滅茶苦茶怖かった」という可夢偉だったが、冷静な判断でうまくエスケープゾーンのアスファルトエリアでマシンを減速させ、タイヤバリアにクラッシュするという最悪の事態は回避した。

 すぐにチームに「ブレーキがなくなった」と伝えてピットインしようとした可夢偉だったが、状況を把握できなかったチームからは「ちょっと待て」と言われる。しかし、しばらくして、チームから無線でピットインの指示が出た。

 ブレーキを失った可夢偉は、マシンを直接ガレージに入れようとピットロードに入り、ピットレーンの出口付近にあるケータハムのガレージを目指した。ところが、ピットレーンに入ってすぐの所にあるフェラーリのガレージ前を通り過ぎると、タイヤ交換を終えたフェルナンド・アロンソがピットアウトして、可夢偉の背後に迫ってきた。左フロントブレーキを失っていた可夢偉は、ピットレーンで十分に減速してから、ガレージに頭から入りたかったが、背後にアロンソが迫っていたため、ピットレーンで減速することを諦める。そして、ケータハムのガレージ前に横付けする形で、アロンソを妨害しないようにマシンをピットレーンから退去させて止めた。

 危険な状況に遭いながらも、冷静さを失わなかった可夢偉。スペインGPではマルシャやザウバーとの差を縮めるつもりが、逆にギャップを広げられてしまったケータハム。土曜日にテクニカルディレクターのマーク・スミスを事実上更迭して、エンジニアリング体制を一新したチームは、やや浮き足立っていたようにも見えた。そして、そんな中で起きたブレーキトラブル。今のケータハムに必要なものは、冷静さなのかもしれない。

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