スーパーGTの今季第4戦は28日、宮城県のスポーツランドSUGOで81周の決勝レースが行われ、次々と上位が脱落していく波乱のレースの中、GT500クラスはARTA HSV-010が優勝。2010年鈴鹿以来の優勝を飾った。
予選までの天候が嘘のように、初夏の爽やかな天候で迎えたスーパーGT第4戦SUGOの決勝レース。迎えたスタートでは、ポールポジションのREITO MOLA GT-Rを駆る関口雄飛がホールショット。3番手スタートのウイダー モデューロ HSV-010が2番手のDENSO KOBELCO SC430に並びかけるが、DENSO SC430を駆る石浦宏明が2番手を死守。REITO GT-Rを駆る関口を追っていった。その後方では、ウイダーHSV-010とKEIHIN HSV-010の戦いとなるが、5周目の5コーナー立ち上がりでKEIHINはスローダウン。さらに、14番手スタートのカルソニックIMPUL GT-Rも同じタイミングでスローダウンを喫した。
ソフトタイヤを履きスタートしているDENSO SC430の石浦は、早く前に出るべく8周を過ぎたあたりから関口を猛プッシュ。さらにその後方では、ウイダーHSVとZENT CERUMO SC430の争いが激化。16周目に入るストレート上で、ZENT SC430を駆る平手晃平が、グリーンに片輪を落としながらもウイダーをオーバーテイク! 満員のファンを湧かせた。
タイトなSUGOだけに、GT500クラス、GT300クラスとも上位、下位と各所で激しい争いが展開されていくが、各車の戦力が拮抗しているためか、なかなか大きな順位変動は起きないまま中盤戦を迎える。しかし、上位陣がピットに入った後、レースは一気に混乱の度合いを増していく。まずピットに向かったのは、39周目にピットに入った4番手ウイダー モデューロ HSV-010。翌周には、先頭のREITO GT-Rと2番手DENSO SC430が同時ピットイン! それぞれ関口から本山哲に、石浦から脇阪寿一に交代。ピットを先に終えたのはDENSO SC430となり、脇阪、本山という順位でピットアウトしていった。
一方、その後ピットに入った3番手ZENT CERUMO SC430は、素早いピットインで立川祐路を送り出す。これで首位DENSO脇阪の後方にZENTが入ることに。すぐ真後ろにREITOの本山というポジションになり、本山vs立川という戦いが展開されていった。
名手ふたりのバトルは、何周にも渡ってサイド・バイ・サイドで展開されていくが、48周目の1コーナーで2台は接触! 本山のREITO MOLA GT-Rがコースアウトしてしまう。さらに、REITO GT-Rはマシンのサイドを破損。これで優勝争いから脱落することとなってしまった。
これで漁夫の利を得たのは、2台のバトルの後方にピタリとつけていたフレデリック・マコウィッキ駆るウイダー モデューロ HSV-010。これで首位DENSO SC430、2番手ウイダーHSV-010、3番手ZENT SC430というポジションに変化していった。
そんな中、SUGOにはさらに“不確定要素”が。56周目を過ぎたあたりに、サーキットには雨が注ぎ始めたのだ。完全に乾いていたサーキットだけにすぐに影響は出なかったものの、雨が強まり始めると、濡れた路面によりペースが一気に乱れ、64周目にはトップ3が急速に接近していった。
さらに、66周目を過ぎたところで爆発的なペースで迫ってきたRAYBRIG HSV-010の小暮卓史を加えた4台のバトルが展開されていくが、この中で立川が脇阪の前へ! しかし、滑りやすい路面上で4台のバトルはまだまだ続いていく。
迎えた70周目。ハイポイントコーナーでラップダウンのエヴァRT初号機アップルMP4-12CをかわそうとしたZENT SC430とDENSO SC430は、両側からマクラーレンをかわしにかかる。しかし、イン側に入ったDENSOとマクラーレンが接触。マクラーレンが姿勢を乱しZENTに接触。これでスピンしたZENTはグラベルに埋まってしまう。
さらに、マクラーレンを避け加速が鈍ったDENSOの両側から、2台のHSV-010が襲いかかる。しかし、今度はDENSOとウイダーHSV-010が接触。ウイダーは姿勢を乱すと、DENSOを挟む形で反対側にいたRAYBRIGとクラッシュ。2台はガードレール側にはじき飛ばされてしまい、これでトップ争いをしていた4台のうち3台がリタイアを喫してしまった。
これで残ったのはDENSOとなったが、右リヤタイヤにダメージを負ってしまいスピン。ピットインし修復を行ったためポジションダウンとなった。これでKeePer TOM'S SC430がトップに浮上したが、一気に差を詰めてきたのは松浦孝亮駆るARTA HSV-010! 一気にKeePerをかわすと、トップを奪った。
さらに雨が強くなっていく残り周回で、追い上げるKeePer TOM'S SC430、そしてMOTUL AUTECH GT-RとのギャップをキープしたARTA HSV-010は、ファイナルラップでGT300クラス首位のARTA CR-Z GTに追いつくと、2台が並んでデイトナフィニッシュ! ARTA Project始まって以来の両クラス制覇、2010年鈴鹿以来の勝利という快挙を達成してみせた。2位はKeePer TOM'S SC430で、3位はMOTUL AUTECH GT-Rと、3メーカーのマシンが表彰台を分け合う結果に。DENSOは4位でチェッカーを受けている。