IRLインディカーシリーズ第3戦、レース序盤は7番手を走行するなど快調な滑り出しを見せた佐藤琢磨だったが、11周目にスロットルケーブルのトラブルにより突如スローダウン。さらに上位を伺おうとプッシュしている最中のできごとだった。
だが琢磨は腐ることなく、当初の目的であった「完走」を目指し、修復作業を終えるとコースへと復帰。最後尾ながらトップグループと遜色のないラップタイムで周回を重ね、ピットストップや燃料搭載量の変化、バトル時のタービュランス(乱気流)など、レースでしか得ることのできない経験を積み重ねていく。ここで得た経験は次戦ロングビーチにおいてきっと生きるはずだ。
IZODインディカー・シリーズ 2010 第3戦
アラバマ
●決勝:25位
「結果は残念なものになったけど、多くの経験を積むことができた」
Q:3戦目のスタートはどんなことを心がけて臨みましたか?
琢磨:長いレースになるので、少し安全に行ったところはありましたね。サードロウからのスタートだったので、ある意味ではやりやすかった。やっぱり強烈にコンペティティブでしたね。僕としては、むしろ安全に行き過ぎちゃったぐらい。ポジションによってどれぐらい攻め込んでいけるのかというのを、今勉強している最中ですね。たぶん思い切り行ってちょうどいいぐらいだったんだと思います。ダリオ(・フランキッティ)にはやられてしまいましたけど、TK(トニー・カナーン)とはサイド・バイ・サイドで5コーナーまでずっと行ってすごく楽しかったし、お互いトップレベルの中で接近したバトルっていうものができたので、自分にも大きな経験になった。ロードコースでもこういうふうに走れるっていうインディカーの素晴らしさを改めて感じましたね。
Q:序盤の戦いはどんな手応えでしたか?
琢磨:自分も含めて上位グループはレッド(タイヤ)でのスタートで、僕もまだまだ行けそうな雰囲気だったんですよ。セント・ピーターズバーグでタイヤを傷めちゃったこともあるので、自分としてはフロントタイヤを傷めない走りを心がけていて、長いスティントにするつもりでした。そうしたら突然スロットルケーブルのトラブルが出て、惰性で何とかピットまで帰ってこようと思ったのですが、最後のひと山を越えられなかった。そこは残念でしたね。
Q:ピットストップの回数など、作戦はどんなものを考えていたのでしょう?
琢磨:タイヤはレッドだけれど、燃料はフルタンクで出て行きました。レッドの場合はタイヤの劣化もあるので、それをいかに遅らせるかが今日のテーマでしたね。他のドライバーたちがピットインした後も僕はコースに残り続けて、できるだけストレッチするという作戦でした。
Q:決勝でのマシンセッティングはどうでしたか?
琢磨:レッド(タイヤ)でもブラック(タイヤ)でもすごくいい感じでバランスが取れていましたね。今日のレースは路面温度が上がったので、みんなバランスに苦しんでいたと思う。僕も完璧ではありませんでしたが、その中ではポジティブな走りができてました。どっちかのタイヤに偏って、レッドだけ、あるいはブラックだけで良いマシンということじゃなく、どちらでもバランスの取れたセッティングと走りができてました。
Q:長いストップの後にレースに戻りましたが、どんな戦いをしていたのでしょう?
琢磨:レースがそのまま続いている感覚のままゴールまで走ったんです。その中では、ひとつのスティントでフルタンクからフューエル・ウインドウに入るまで走り続けることもできたし、タイヤがフレッシュからユーズドになっていく感覚もわかった。他のクルマの後ろを走ってタービュランスがどんなふうになるのかもわかった。周回遅れだけれども、順位を争っている中に入っていってオーバーテイクしたり、レースをしているのと同じように走っていました。最後はダリオ・フランキッティやウィル・パワーなどのトップグループともやり合うことができましたから、そういう意味では楽しい、いい経験になったレースでしたね。今回は集団でキッチリ走ることを目標としていました。しかし、トラブルでポジションを争うレースを続けることはできなくなった。だから例えば最後だけ、燃料が軽くなった時にタイヤ交換をしてファストラップを狙うやり方もあったのですが、僕らとしてはレースをしている前提の戦い方を貫くことにした。レースをしている感覚のままゴールまで走ったので、結果は残念なものになったけれど、とてもいい経験ができました。
Q:ピットストップはいかがでしたか?
琢磨:今回はイエローで全員いっせいに、というピットストップは経験できなかったんですけど、普通のピットストップはあまりF1と変わらず、落ち着いてできたと思います。
Q:隣のピットに1台いる状態だと、やっぱり難しいですか?
琢磨:それはすごく難しい。プラクティスの時から狭さを感じていましたね。F1と違って、そこはすごく難しい。いっせいに入るピットは次のロングビーチで経験したいですね。今日は普通のピットストップを経験できてだいぶイメージもわいたので、良かったですね。
Q:燃料搭載量の変化がハンドリングに与える影響は?
琢磨:それはタイヤの劣化とで相殺されるような感じでしたね。
Q:ゴールまで走った。この意味は大きいですか?
琢磨:今回こうして完走したことで、またひとつ前進できたと思うし、クルマに関する理解度もまた深まった。次のロングビーチは歴史のあるレースだし、プラクティスから順調に進めていきたいと思います。
Q:今回リタイヤするドライバーがなく、3レース続けて20位台の順位となりました。次戦への意気込みは?
琢磨:リザルト上の結果は下だけれど、周回遅れになってレースに戻ってから、トップグループと変わらない走りができたと思っているし、バトルも十分できた。追い抜きもあったし、迷惑をかけたとも思ってないし、そういう意味では存在を示せたと思います。トップグループの人たちと走れたことで、彼らもこっちのことを感じてくれたはずだし、上位を走る時のために良い経験になったと思います。
