第3戦富士ラウンドでKONDO RACINGからフォーミュラ・ニッポンに復帰した松田次生。富士は準備期間として土曜のフリー走行のみのテスト参加となったが、今週末の第4戦もてぎからチームも松田も“完全レース復帰"を果たす。富士戦の時のテストでの手ごたえ、今季のシート喪失後の心境やKONDO RACINGからのカムバックが決まるまでの経緯を松田が語ってくれた。

──富士ラウンド、土曜午前中のフリー走行は10番手。7ヶ月間のブランクがありましたが、自分としての手ごたえはいかがですか?
松田次生(以下次生):午後はセットをガラッと変えて失敗しましたが、まあまあでしたね。緊張もしました。前日はちゃんと乗れるかなって不安になったり、ステアリングを切れるのかなって(笑)。走り出しのスピード感とか加速感はこんなに速かったかなって思いましたが、周回を重ねると目が慣れて余裕も出てきました。

──最初のチェック走行後、攻め始めた1周目の1コーナーはいきなりコースオフしていました。
次生:見られちゃいました? 突っ込みすぎました。気持ちだけは前へ前へって感じだったので。

──プリウスコーナーではスピン車両を避けようと自らもスピン。たまたま目の前で見ていましたが、あの瞬間にブランクってあるんだなって思いましたよ。
次生:いやいや、あれはブランクっていうよりはリヤのスタビリティがあまりにもなさすぎたんです。あそこで踏ん張っていたらスピン車両に激突していました。その前にスピンさせた方がいいかなって。

──周りがレースに向けて準備を進める中、自分だけテスト。なかなかない状況でしたね。
次生:まあ……すいません、新人なんで許してくださいって感じで(笑)。(富士の)日曜は間近でレースが見られるので、他のクルマがどんな動きをしているのかなっていうのも観察させてもらいます。

──ところで、今季のシート喪失から復帰までの経緯を改めて教えていただけますか。
次生:今年の2月ぐらいまでTEAM IMPULのマシンに乗るっていう話だったんですけど、スポンサー獲得が厳しくてチーム自体がFニッポン参戦を辞めるという話になり、ああそれじゃあ今年は走れないんだなって……。土壇場でチームはスポンサーを獲得できましたが、それでも3台から2台体制に縮小されました。

──チームも07〜08年を2連覇した松田選手自体も昨年は不振。それでもシート喪失という現実はショックでしたか?
次生:驚きましたね。星野(一義)という看板のあるチームインパルでもスポンサーが獲れないんだって。それプラス、自分がなぜ乗れないんだっていう悔しさもありました。まあ乗れない時期に充電もできました。

──充電とは?
次生:やっぱり2連覇した後、モチベーションを保つのが大変だったんです。常に追われる立場で……それから逃げたかったわけじゃないんですけど、自分の中で何を求めていけばいいのか分からなくなったというか。あれだけ勝って強さ見せて2連覇してもF1という道はなかったわけですから。今まではF1に行くためにFニッポンでチャンピオンを獲るとずっと考えていたんですが、それがないという現実にすごくショックを受けモチベーションが下がってしまった。ただ実際に乗れなくなり開幕戦をサーキットと違う場所で迎えた時、やっぱりそうじゃない、今辞めたらマズイなって気持ちが沸き上がってきたんです。もう一度チャレンジしたいって。09年は自分の想像以上に結果が出なくて、このまま終わるのも嫌だなっていう気持ちもありました。そんな中で、近藤(真彦)監督が僕のことを聞きつけ、『うちもスポンサーはないけど、やれるなら一緒にやろう』と言ってくれたんです。さすがにすぐには予算も時間もなくて参戦準備が整わず、金銭的な折り合いがついたのが第3戦の富士で、急遽出るにもクルマもカラーリングもぜんぜん間に合わなかったので、富士はフリー走行だけのテストにして第4戦のもてぎから本格参戦しようとなったんです。

──復帰する上でネックになるのが、09年KONDO RACINGが参戦していなかったことだと思います。チーム自体がFN09のノウハウを持っておらず、加えて松田選手も昨年はFN09のセットアップに苦しむ中でシーズンを終了。そのへんは復帰決意の上で障害になりませんでしたか?
次生:それはありましたね。昨年は正直、最後まで良いセットを見つけられないまま終わってしまったので。でも、今年はそれを分からないままで終わらせたくないです。富士のテストでもそれほど多くのことを試せたわけではないですし、まだまだやることはたくさんあります。そういうことをすべてひっくるめて僕の中では新たなチャレンジなのかなと思っています。インパルに乗れなかった……それで終わりではなく、他のチームでそれを越えるぐらいのパフォーマンスを見せつけたいって気持ちも今はあります。確かにチームはFN09のデータを持っていません。でも、スーパーGTでも結果を出している良いチームです。最初は多少苦労するでしょうが、少しずつ蓄積していくことによって良くなっていくだろうなって感じられる部分をテストでも感じられましたしね。ちゃんとレースを走り切るところからスタートして、そこからステップアップしていって得意な最終戦の鈴鹿では勝ちたいな、と。残り4戦でそこまで持っていければ、自分の中では100点満点かなって思っています。

<<つづく>>

本日のレースクイーン

優羽ゆうは
2025年 / スーパー耐久
LOVEDRIVE RACING
  • auto sport ch by autosport web

    FORMATION LAP Produced by autosport

    トランポドライバーの超絶技【最難関は最初にやってくる】FORMATION LAP Produced by auto sport

  • auto sport

    auto sport 2026年1月号 No.1615

    ネクスト・フォーミュラ 2026
    F1からカートまで
    “次世代シングルシーター”に胸騒ぎ

  • asweb shop

    STANLEY TEAM KUNIMITSUグッズに御朱印帳が登場!
    細かい繊細な織りで表現された豪華な仕上げ

    3,000円