昨年までインディカー・シリーズに参戦していた武藤英紀が、レース中の事故で亡くなったダン・ウェルドンへの思いを自身のブログに綴った。
2008年からの3年間をインディカーで過ごした武藤は、08年の第8戦アイオワで日本人最高位となる2位を獲得している。このとき同じ表彰台で優勝トロフィーを受け取っていたのが誰であろうウェルドンだった。
武藤は、ウェルドンと何度か食事やお酒を飲みにいったことを挙げ、誰にでも愛される選手だったとその印象を語っているが、彼の死を知り涙が止まらなくなったとコメント。また、自身も属するレーシングドライバーが常に危険と隣り合わせであることにも改めて思いを巡らせた。
「彼の死を知ったその瞬間から何かが壊れたように涙が止まらなくなった」と武藤。
「インディという最も危険なレースなのは重々理解しているつもりだ。僕も去年まで、特にオーバルのレースの前は家中を掃除して、もしかしたらここにはもう帰れないかもしれない。誰かが整理しに来ても恥ずかしくないように! 毎回そう覚悟して臨んでいた。でもそんな事は絶対にない! 信じてた」
「でも実際は違うんだ。一秒で人生が大きく変わってしまう。受け入れがたいけど現実なんだ。そういう世界に自分は生きているんだ! ずっとそこで生きてきたんだ! そう実感した。冷静に考えたら300キロ以上のスピードでぶつかって生きている事の方が奇跡だ」
「両親はどんな思いで僕のレースを見ているのだろう? 本人よりよっぽど恐怖に違いない。色々考えてしまう。ダンの家族の事を思うと本当に胸が苦しい」
それでも武藤は、ウェルドンが幸せな人生を送ったとコメント。彼の死から学ぶ事は沢山あると綴り、 一瞬一瞬を精一杯生きていくだけと締めくくった。
(コメントは武藤英紀公式サイトのブログより引用)