ベライゾン・インディカー・シリーズ第2戦がカリフォルニア州ロングビーチで開催され、波乱のレース展開をマイク・コンウェイ(エド・カーペンター・レーシング)が制した。佐藤琢磨(AJフォイト)は、15番手スタートから追い上げを見せたが多重クラッシュに巻き込まれリタイアとなった。
快晴の下でスタートした第40回グランプリ・オブ・ロングビーチは、レース終盤にトップ争いで多重クラッシュが発生。しぶとさを発揮したマイク・コンウェイが17番手スタートという不利を跳ね返して優勝した。
アンドレッティ・オートスポートに所属していた2011年にロングビーチでインディカーでのキャリア初優勝を飾ったコンウェイは、2013年にはデイル・コイン・レーシングとともにデトロイトでのレース1を制し、今回がキャリア3勝目。それは新たに移籍したチーム、エド・カーペンター・レーシングでの初勝利となった。
エド・カーペンター・レーシングは、今年からストリート及びロードコースでのレースをコンウェイに委ね、オーバルレースはチームオーナー兼ドライバーのエド・カーペンターが担当する体制になった。レース分担制が開幕2戦目にして早くも花開いたのだ。
レースはポールポジションから新品のレッドタイヤでスタートしたライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)が完全にコントロール。レース中盤からはブラックタイヤにスイッチしたハンター-レイだったが、ペースは安定しており、悠々とトップを走り続けていた。
予選2番手だったジェイムズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポート)は、序盤に順位を下げたが、そこから巻き返してトップを快走するチームメイトの背後に迫って行った。彼もタイヤはフレッシュレッドからブラックというストラテジーだった。
アンドレッティ・コンビにチャレンジしたのは予選4番手だったジョセフ・ニューガーデン(サラ・フィッシャー・ハートマン)。彼は終盤のピットタイミングを1周遅らせ、トップでコースへと復帰した。
しかし、ターン1を回っている時点でハンター-レイとヒンチクリフが彼の背後に急接近。コールドタイヤで太刀打ちするのは難しく、少なくともハンター-レイにはパスを許すことになるだろうと見えていた。
そして迎えたターン4、ニューガーデンがマシンをアウト側に振り、ハンター-レイが一気にインを突いた。ニューガーデンはラインを譲ろうとしたわけではなかった。コールドタイヤで狙い通りのラインを走れていなかっただけだったのだ。彼ら2台は絡み合いながらアウト側の壁にヒット。ヒンチクリフもそれに巻き込まれた。
パワーはここをうまくすり抜けたが、コントロールを失った状態でコースを横切ったハンター-レイのマシンによってエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)もダメージを負った。
この後にターン4へと到達した佐藤琢磨、トニー・カナーン(チップ・ガナッシ)、ルーキーのジャック・ホークスワース(BHA)が避け切れずにクラッシュした。
コンウェイ、ルーキーのカルロス・ムニョス(アンドレッティ・オートスポート)、ファン・パブロ・モントーヤ(チーム・ペンスキー)はギリギリでクリア。27周目からのフルコースコーションでピットに入り、作戦で前に出ていたディクソン、ウィルソン、クラッシュを切り抜けたパワーらによって終盤に新たなトップグループが構成された。
長いコース清掃の後、レースは64周目にリスタート。ここでコンウェイはパワーをパスして3番手に浮上。その直後、ディクソンに対してウィルソンがアウトからパスを仕掛け、2台は接触、壁とのサンドイッチになったウィルソンはサスペンションを壊してリタイアを喫した。
これでディクソンの優勝かと思われたが、彼はウィルソンとおなじ29周目のピットストップで燃料を補給したきりだった。50周を1タンクで走り切るのは、長いコーションがあった今回でも不可能だったようで、78周目に彼はピットに向い、トップを明け渡した。あと2周足りなかったのだ。
このことはウィルソン陣営を怒らせた。彼らは最後まで燃料が持つ計算だったからだ。レース終盤の燃料セーブの仕方に違いがあった可能性はあるが、ホンダエンジンの方が今年も燃費は良いのかもしれない。
目の前からディクソンが消えてコンウェイはトップに立った。彼は最終ラップに自己ベストを記録し、パワーに攻撃のチャンスを与えないままゴールへと飛び込んだ。3位にはムニョスが、コロンビアの大先輩であるモントーヤを背後に従えて入賞。5位は序盤にパワーに追突されて最後尾まで転落させられたサイモン・ペジナウ(シュミット・ピーターソン・ハミルトン)が挽回して来た。6位はペジナウのチームメイトでルーキーのミカイル・アレシン(シュミット・ピーターソン)だった。
シボレー・エンジンは開幕2連勝を1-2フィニッシュで飾った。ホンダは2戦連続でポールポジションを獲得していながら、未だにシーズン初勝利を挙げることができていない。