カナダ・アルバータ州のエドモントン・シティセンター・エアポートの一部を利用して開催されたIZODインディカー・シリーズ第10戦エドモントン。24日に行われた決勝レースは、昨年のロード・ストリートコース王者のウィル・パワー(チーム・ペンスキー)が制し、今季4勝目を挙げた。今季2度目のポールを獲得し、初優勝が期待された佐藤琢磨(KVレーシング/ロータス)は、トップ争いを展開中に他車に押し出され、21位完走で終った。
長いストレートの先にタイトターンを配したエドモントンの空港サーキットの新レイアウトは、狙い通りに多くのオーバーテイクシーンをファンの前に提供してくれた。
予選2位からスタートし、ポールポジションの琢磨を19周目にパスしたパワーは、ピットタイミングなどで一時的にその座を明け渡すことはあったが、基本的にはレースを完全にコントロール下に置いてゴールまで走り切った。
レース終盤には、2番手に浮上してきたチームメイトのエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)がパワーを不安に陥れた。カストロネベスのすぐ後ろにはランキングトップのダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ)が迫っていたが、パワーは今年のロングビーチのように、カストロネベスが不必要なミスを冒さないかとハラハラし続けたはずだ。しかし、カストロネベスはチャンピオン争いをしているチームメイトを弾き飛ばすことなどせず、背後を走り続けて2位でゴールした。
フランキッティに並ぶ今季4勝目を挙げたパワー。キャリア13勝目で、エドモントンでは09年に続く2勝目となった。カストロネベスは今日の2位が今季のベストリザルト。驚いたことに、表彰台に上るのさえ今シーズン初めてだった。
3位にはフランキッティが入り、今シーズン6回目の表彰台フィニッシュとなった。4回の勝利と6回の表彰台フィニッシュ、フランキッティとパワーはこれらの数字では互角で並んでいる。ポールポジションの獲得回数はパワーが5回、フランキッティが1回。しかしシリーズポイント争いでは、エドモントン入りした時点であった55点の差は、パワーの勝利で38点差に縮めたが、いまだフランキッティが大きくリードしている。
「今後もダリオの前でゴールし続けること。それが僕の使命だ。今日のこの勝利によって、僕はチャンピオン争いに踏み止まることができたと思う」とパワーは語った。
ポールを獲得した琢磨はまたしても初優勝、あるいは初の表彰台のチャンスを失った。今回はライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポーツ)にぶつけられたためだった。ハンター-レイは確かに良いペースで走れていたが、まだ琢磨に並びかけることもできていないコーナーで無理矢理インを突き、結果として琢磨をスピンさせたのだった。
「オーバーテイクを仕掛けられたら、コーナーへとアプローチするコースのイン側半分を相手に与えないとならない」。これはインディカー・シリーズがオーバーテイク量産=ファンの獲得に繋がると考えて編み出したルールだが、今回のハンター-レイによるアタックは無謀そのもの。彼はイン側のレーンを走るだけで優先権が与えられるとでも考えているのだろうか? 当然ハンター-レイには、ドライブスルーペナルティが課されたが、スピンさせられ、マシンを傷め、さらにエンジンストールで周回遅れとなった琢磨のレースは、その時点で終了させられたに近かった。マシンを修理してコースに戻った琢磨だったが、フルコースコーションが出されて周回遅れを挽回するなどのチャンスが与えられることもなく、ゴールまで走り続けたが順位は21位となった。
「本当に残念ですね、。こんなに後ろの順位でのフィニッシュになるマシンじゃなかったのに……」と琢磨は悔しがっていた。「序盤はタイヤの内圧が上がってウィル・パワーたちにパスを許しましたけど、リスタートで7番手から2番手まで一気に順位を挽回できていたし、また戦える体制に戻ってました。優勝できたかっていうと、今日の自分のペースでは少し難しかったかもしれないけど、マシンは決して悪くなかったし、優勝あるいは表彰台を狙った走りを続けることは十分できていたと思います」と琢磨は語った。
