現地時間21日に世界ラリー選手権(WRC)の2016年シーズンが開幕する。今季は21日~24日まで行われるラリー・モンテカルロを皮切りに、11月18日~20日の最終戦オーストラリアまでの全14戦で争われる。また、国内ではJ SPORTSが放送するデイハイライト番組が30分へ拡大される。

 今季のWRCカレンダーで注目なのは1999年以来17年ぶりに中国ラウンドが復活すること。自動車市場の成長が著しい中国でWRCを開催することに対し、参戦メーカーは歓迎する意向を示している。しかし、昨年より1戦多い全14戦という大会数には主に輸送コストの面で難色を示しているチームもある。特にメーカー直系チームではないMスポーツは未だに全戦へのエントリーを確約できない状況となっている。

 昨年はフォルクスワーゲンが13戦12勝とシーズンを圧倒する形となったが、今季の勢力図もその流れが途切れることはなさそうだ。フォルクスワーゲンは王者セバスチャン・オジエに加え、ヤリ-マティ・ラトバラ、アンドレアス・ミケルセンと昨年と同じドライバーラインアップを維持。マシンについても15年型ポロR WRCに信頼性向上を目的としたアップデートを施したのみとなっており、シリーズ4連覇に向けて盤石の体制を敷いている。

 一方、そのほかのライバルチームにはさまざまな動きがあった。まず、これまでフォルクスワーゲンにとって最大のライバルだったシトロエンは、2017年に向けたマシン開発へ注力するべく、今シーズンのワークス参戦を中止。チームに所属するクリス・ミークとステファン・ルフェーブレは17年に投入するC3ベースのWRカー開発に携わりつつ、PHスポール率いるセミワークスチームから開幕戦モンテカルロを含む年間6戦~10戦へスポット参戦を行う予定だ。マシンに関しても昨年と同様にDS3 WRCを使用する。

 また、Mスポーツは昨シーズン半ばに新型エンジンを投入したフォード・フィエスタRS WRCを継続使用するが、ドライバーラインアップは刷新。シトロエンから移籍したマッズ・オストベルグと昨年はトヨタのWRCプログラムでテストドライバーを務めたエリック・カミリの2名でシーズンへ挑む。昨年まで所属していたエルフィン・エバンスはチームに留まり、シリーズ数戦へスポット参戦するが、オット・タナクは新たに最上位クラスへ参戦するドリームDMACKワールドラリーチームへ移籍し、フィエスタRS WRCをドライブする。

 今季、唯一新車を投入するヒュンダイは開発に1年を費やしたi20 WRCで参戦。ドライバー陣はダニ・ソルドとティエリー・ヌービル、ヘイデン・パッドン。ケビン・アブリングの4名で変わらないものの、チーム代表のミシェル・ナンダンは「チャンピオンシップで可能な限りポイントを獲得することが目標だ。そのため、ドライバーラインアップは柔軟に変更していく」との姿勢を示し、ラウンドごとにワークスチームとサテライトチームのエントリーを変更するとしている。なお、アブリングはチームのテストドライバーも務めており、17年規定のマシン開発に取り組みながら、数戦へスポット参戦する予定だ。

 そのほか、開幕戦モンテカルロにはロバート・クビカもスポット参戦する。昨年は自らチームを立ち上げてWRCに参戦したクビカだが、今季はスポンサー集めに苦労しており、現時点でWRCに参戦するのは開幕戦のみとなると述べている。

 テレビ放送に関しては、16年もスポーツ専門チャンネルであるJ SPORTSが各ラウンドのデイハイライトを放送する予定だが、放送形態に大きな変更が行われた。これまで5分番組だったデイハイライトが30分番組に拡大されるほか、各ラウンドの最終ステージに設定されるライブステージがシリーズ全戦で生中継される。

 16年シーズンは11年から続いたレギュレーションが適用される最後の年となるため、現行マシンは見納めとなる。また、来季の規則変更に合わせて勢力図を塗り替えるべく、各チームがさまざまな試みを行う1年とも言えるだろう。

 そして、来る17年シーズンは新規則に従い、より速くよりアグレッシブな外観となったマシンが登場するとともに、トミ・マキネン率いるTOYOTA GAZOO Racingがラリーに復帰。世界一を目指し、激しいバトルに身を投じることとなる。

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