マルコ・アンドレッティが2006年以来の勝利で自身通算2勝目を飾る
ポールポジションスタートの佐藤琢磨はトップ争いを繰り広げるも183周目にリタイア
IZODインディカー・シリーズ第8戦は、全長0.894マイルのアイオワ・スピードウェイでナイトレースとして開催されました。アイオワ州々都のデ・モインから東に30マイルほど進んだ位置にあるショートオーバルは、コースのサイズの割に最大14度と急なバンクがコーナーに設けられています。これは、インディカーならではのハイスピードバトルをさらに強調し、一触即発のスリリングなレースが、スタートからゴールまで休む間もなく続きます。
今年も天気に不安がありましたが、幸いにも雨雲が去った中でレースは開催され、大勢のファンがインディカー・バトルを堪能しました。夜8時にスタートした250周のレースは、スタートから激しい戦いが間断なく続き、最後はマルコ・アンドレッティ(Andretti Autosport)とトニー・カナーン(KV Racing Technology-Lotus)の一騎打ちになりました。2人は抜きつ抜かれつのドッグファイトを展開し、昨年もここで勝っているカナーンが有利と見えていましたが、アンドレッティは落ち着いて勝機を待ち、残り20周を切ったところでアタックを開始。プッシュ・トゥ・パスを巧みに使ってトップに立ったアンドレッティは、カナーンを突き放してオーバル初優勝を飾りました。ルーキーイヤーだった2006年の第13戦インフィニオンで初勝利を飾り、19歳5カ月14日のインディカー史上最年少優勝記録を更新したアンドレッティでしたが、2勝目は5年の時を隔て、78戦ぶりに達成されました。そして、それは彼にとって、オーバルでの初勝利となりました。
カナーンは今季ベストリザルトとなる2位でした。3位は予選23番手からすばらしいレースを戦ったスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)のものとなりました。レース終盤にはチームメートのダリオ・フランキッティとのバトルを制し、表彰台に手を届かせました。
また、ルーキーのJ.R.ヒルデブランド(Panther Racing)は、ハンドリングの悪化に悩んでいたフランキッティを242周目にパスして、4位でフィニッシュしました。
キャリア初のポールポジションからスタートした佐藤琢磨(KV Racing Technology-Lotus)は、レースが終盤を迎えるまでトップグループで堂々たる走りを見せていました。ピットストップでセッティングを変更してハンドリングの向上もできており、ゴールに向けて大きな期待が寄せられていました。ところが、3回目のピットストップを終えたすぐ後の183周目、佐藤はターン2でスピンし、リアを外側の壁にクラッシュ、無念のリタイアとなりました。
これで2011年のIZODインディカー・シリーズは17戦のうちの8戦を消化しました。ポイント・トップ・タイでこのレースを迎えたフランキッティとウィル・パワー(Team Penske)でしたが、パワーはレース前半に単独アクシデントを起こして21位で12点しか稼げず、フランキッティは5位フィニッシュと最多リードラップ記録により32点を加算。フランキッティが単独トップに立ち、20点のリードを手に入れました。ポイント3、4、5位にはディクソン、オリオール・セルビア(Newman Haas Racing)、カナーンが続き、インディカーでの2シーズン目を戦う佐藤は、ランキング13位につけています。
コメント
マルコ・アンドレッティ(優勝)
「優勝できて気分は最高です。多くのファンが集まってくれたレースでした。2勝目までに、まさか5年もかかるとは思ってもいませんでしたが、優勝の難しさ、価値の大きさを改めて感じています。レースは最終的にトニー・カナーンとの激しいバトルになりました。ゴールが近づくまで勝負を仕掛けるのは待とうと考え、狙った通りに終盤でトップになることができました。とても手強いライバルたちを相手に戦い、僕らはそれを勝ち取りました。チームのクルーたちがピットストップで、僕を前へ前へとプッシュしてくれたおかげです」
トニー・カナーン(2位)
「マルコ・アンドレッティの優勝におめでとうと言いたいです。彼はフェアに戦い、私との勝負に勝ちました。ギリギリのスペースしかお互いに与えないバトルでした。自分たちのマシンはトップ3なら狙えましたが、本当に優勝を狙えるものにはなっていませんでした。その状況でも、今年の自己ベストとなる2位でゴールできました。早くチームに初勝利をもたらしたいと考えています。今回も優勝を実現することはできませんでしたが、夢を叶えることは可能だと、今日のレースでは感じることができました」
スコット・ディクソン(3位)
「長く、激しい戦いになりました。3位でのフィニッシュでしたが、自分としては優勝したのと同じぐらいにうれしいです。まず、アンダーステアが出て、周回を重ねるとオーバーステアに変わる、本当にいいマシンにはできていませんでしたが、そんなマシンであっても上位でフィニッシュしなければタイトルを手にすることはできません。チームメートのダリオ・フランキッティはそういう戦い方、結果の残し方を知っています。今日は、わずかながらポイント差を縮めることができました。まだタイトル争いの可能性が自分にも十分に残されています」
佐藤琢磨(19位)
「本当に残念な結果になってしまいました。マシンは最初こそ曲がりにくかったのですが、ピットストップでセッティングを変更するとよくなっていきました。トップグループで戦い、リスタートでもポジションを守ることができていました。アクシデントはピットアウトの2周後でした。前の周からタイヤのグリップにはまったく問題がなかったので、なぜあの周にスピンしたのか、まだデータを見てみないとわかりません」
ロジャー・グリフィス|HPD レース・チーム・マネジャー
「今年からナイトレースになったアイオワ・スピードウェイのレースは、期待通りのすさまじいバトルが満載でした。雨に見舞われる可能性があると予報が出ていましたが、熱心なファンがグランドスタンドを埋めてくれました。マルコ・アンドレッティとトニー・カナーンのレース終盤のバトルは、本当に見ごたえがありました。アンドレッティのオーバル初勝利、06年以来のキャリア2勝目を讃えたいと思います。佐藤琢磨はとてもいいレースを戦っていただけに、アクシデントでのリタイアは日本のファンのためにも残念な結果です。すばらしい戦いの続いたオーバルコースでの4連戦が終了し、次戦はカナダのトロントで開催されます。ストリートレースとロードレースが続き、チャンピオンシップをかけた戦いはさらにし烈になっていくことでしょう」
