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投稿日: 2011.08.15 00:00
更新日: 2018.02.23 12:34

琢磨「自分がスペースを与えるべきだったかも」


大荒れのレースでライアン・ハンターレイが今シーズン初優勝
一時トップを走行した佐藤琢磨は7位フィニッシュ

アメリカ東北部のニュー・イングランドと呼ばれる地域で1998年以来という久しぶりの開催となったインディカー・レースは、雨の予報が出ていたために予定の4時よりも30分早くスタートが切られました。天気予報の通り、225周のレースが100周を迎える前に雨が降り出しましたが、走行を完全にストップするまでの雨ではなかったため、フルコースコーションで周回は続けられました。しかし、もうゴール間近の200周を超えてから雨が若干強くなり、それでもインディカーのレースコントロールは216周目にリスタートを切る決断を下したことから、多重アクシデントを招いてしまったのでした。

グリーンフラッグが振られようというところで、6番手を走っていたダニカ・パトリック(Andretti Autosport)がスピン。彼女のマシンは5番手につけていたウィル・パワー(Team Penske)の目の前を横切ったために後続で大混乱が発生し、パワー、佐藤琢磨(KV Racing Technology-Lotus)、アナ・ベアトリス(Dreyer & Reinbold Racing)、エド・カーペンター(Sarah Fisher Racing)らがクラッシュしてしまいました。

レースはその後もフルコースコーションのまま周回が重ねられたのですが、再びグリーンフラッグが振られることはなく、一旦赤旗でストップ。その後、コースがレース可能な状態に戻ることはないと判断され、コントロールラインにチェッカードフラッグが提示されました。
インディカーは、多重アクシデントが発生した216周目のリスタートにはグリーンフラッグが出されていなかったことから、その1周前の215周目の順位を最終結果として採用。その結果、優勝はライアン・ハンターレイ(Andretti Autosport)のものとなり、オリオール・セルビア(Newman Haas Racing)が2位、スコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)が3位という結果になりました。

ポールポジションからレースの半分以上を悠々とリードし続けたダリオ・フランキッティ(Chip Ganassi Racing)は、118周目のリスタートで2位を走っていた佐藤と接触し、180度スピンしてストレート・イン側のウオールにヒット。そこでレースを終えました。このアクシデントによってハンターレイはトップに躍り出て、優勝を手にしました。今シーズンの初勝利はキャリア5勝目となるものです。

パワーはマシンのハンドリングが悪かったものの、チームの作戦がよく、粘り強くレースを走り続けて5位フィニッシュ。フランキッティとのポイント差を47点に縮めることに成功しました。

予選8番手から2位まで浮上する快走を見せた佐藤は、118周目のリスタート時に起きたフランキッティとの接触でタイヤがパンクし、フロントウイングにダメージを受けたためにピットストップを2回行いました。しかし、それでもリードラップに残り続ける8位をキープし、ライバル勢が全員ピットインしたことでトップに躍り出ました。しかし、彼もまた少しあとのタイミングで最後のピットストップを行わねばならず、最終的にポジションを7位に上げ、今年6回目のトップ10フィニッシュを記録。佐藤のシリーズランキングはトップ10に復帰しました。

コメント
ライアン・ハンターレイ(優勝)
「私たちのマシンは、トラフィックの中でとても速く走りました。今週はプラクティスを走るたびにマシンを着々とよくしていくことができていました。ダリオ・フランキッティはとても速かったのですが、彼はリスタートでのアクシデントによりゴールまで走りきれませんでした。レースの世界では時として、最速のマシン、最速のドライバーが勝つとは限らないのです。最後のリスタートが切られたことを私は驚きました。雨が降っていて、タイヤを温めることがまったくできなかったし、2速ギアでも3速ギアでもタイヤは空転し、パワーを路面に伝えることができていませんでした。このコースは本当に難しく、走っていておもしろく、私は大好きです。このようなコースでのレースでウイナーになれたことをうれしく思います。今日はオーバーテイクも多く、とてもエキサイティングなレースになったと思います」

オリオール・セルビア(2位)
「レース終盤は路面がかなり濡れていたので、リスタートは切られるべきではなかったと思います。しかし、レースコントロールはグリーンフラッグを出しました。そして、イエローフラッグが出された時、私はライアン・ハンターレイよりも前に出ていました。オフィシャルは一旦私をレースリーダーとして認めながら、順位を入れ替えました。その判断がなければ私が勝っていたレースだったので、この結果はとても残念です」

スコット・ディクソン(3位)
「とても長い一日となりました。200周を終えた時点で、もう500マイルを走ったかのように感じていました。そして最後のスタートが切られ、アクシデントが発生しました。あのスタートは切られるべきではなかったと思います。スタート時刻を早めたのはインディカーによる好判断でしたが、彼らは雨が降っている状況だというのに、レースを続けることにこだわり過ぎたように感じていました。あの最後のリスタートでライアン・ハンターレイは加速せず、オリオール・セルビアが彼の前に出ていました。私は彼の後ろの2位となっていました。グリーンフラッグは出されたのですから、私は3位ではなく、2位という結果を手にするべきだと思います。しかし、今日のハンターレイは本当に速く、それは優勝に値するものであったと思っています」

佐藤琢磨(7位)
「ダリオ・フランキッティとのアクシデントは、非常に残念なものでした。こちらはラインを保っていたと思うのですが、非常に接近していたのは事実で、まだ映像確認をしていないのでなんとも言えませんが、自分の方がもう少しスペースを与えるべきだったのかもしれません。タイヤとフロントウイングを交換したあと、何台ものマシンをオーバーテイクできました。雨が降っていたことが、自分にオーバーテイクを可能にしてくれました。だから最後のレース再開は、自分としては望んでいたことでもありました。もっと順位を上げられると思ったからです。しかし、リスタート時のスピードがとても遅く、目の前を走っていたウィル・パワーとの距離が一気に縮まって、そこで自分より前を走っていたマシンが急減速したので、接触してスピンしてしまいました。インフィニオン・レースウェイでの次戦は、昨年のリベンジではないですが、来週のテストを有効に使って、いいレースを戦い、いいリザルトをつかみたいです」

ロジャー・グリフィス |HPDテクニカル・ディレクター
「インディカーとしては、225周のレースを最後まで行いたかったのです。ニューハンプシャー・モーター・スピードウェイに集まったくれたファン、テレビで観戦してくれているファンに、レースをゴールまで見せたかったのです。インディカー・レースはスポーツであり、エンターテインメントでもあるからです。しかし、今日の場合はレースを続けるのに適したコンディションではなかったようです。レースはとてもエキサイティングでした。予想されていたよりも多くのオーバーテイクを見ることができました。ニューハンプシャーの1マイル・オーバルは非常にテクニカルで、ドライビングやマシンセッティングが難しくなることにより、レースをおもしろいものにしたのだと思います。今日はポイントリーダーのダリオ・フランキッティがリスタートでのアクシデントから、ゴールまで走り続けることができませんでした。2位につけていた佐藤琢磨とのアクシデントは、どちらにも同じだけの責任があったと考えられますが、フランキッティが接近していったようにも見えました。彼は20位という結果しか得られず、ポイント2位のウィル・パワーが5位フィニッシュを果たしたことにより、チャンピオン争いの行方はまたわからなくなりました」


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