AUTO GP第7戦のドニントンで、連続入賞を果たした黒田吉隆(ユーロノバ)だが、直前に行われた公式合同テストでのトラブルに若干の悔しさをのぞかせた。
黒田は、レースウイーク前日に行われた公式合同テストでギヤボックスのトラブルに見舞われ、午後のセッションもチームメイトのマシンを借りて走行するなど、初めて走るドニントンを前に十分な走り込みができなかった。
予選12番手で日曜の決勝レースを迎えた黒田は、それでもレース1終盤でライバルの追い上げを振り切って10位入賞を果たすと、夕方のレース2でも9位に入り、ムジェロ以来の連続入賞を果たした。
「午前の公式合同テスト1回目の序盤は、初めてのコースなのでゆっくり走っていため、ギアボックスの不具合はわからなかった。しかし、ペースを上げたら違和感を覚えたのでピットへ戻ったが、時間内での修復は不可能で満足に周回できなかった」と、黒田は語っている。
「午後の公式合同テスト2回目に向けてギアボックスの修復に取り掛かったが、よく調べたら別の不具合も発見された。結局は原因究明と修復作業に時間を取られて、公式合同テスト2回目を自分のクルマで走ることは叶わなかった。セッション終盤にはチームメイトのクルマを借りてタイヤの皮剥きと習熟走行を行ったが、自分のクルマの戦闘力を向上させることはできず、単にコースを憶えるだけになってしまったのは非常に残念だった」
「予選前の練習走行でクルマの仕上がりが良かっただけに、予選結果はとても残念だ。2回の赤旗で最後までリズムに乗り切れなかった。予選は気温が低かったのでタイヤの空気圧をあらかじめ高めに設定して、少なめの周回数でソフトタイヤのグリップを良い状態まで持って行けるようにして臨んだ。ところがその最も良い状態のときに赤旗が出てしまって……良い感じで乗れていたのでセッション中断は痛かったね。最後になんとかタイムをしぼり出したが、まったく満足できなかった」
「12番グリッドからの決勝レース1は、今季一番の出来とも言えるスタートを決められた。1周目には10番手へ上がって、そこからタイヤ交換義務の消化のタイミングを後ろへ引っ張ったのは、事前の作戦どおりだった。クルマの調子自体はまあまあで、自分の走りも無難な感じではあったが、やはり木曜日の公式合同テストでギアボックスの不具合が発生し、ライバルに比べると走り込みが圧倒的に不足していたのは大きなハンデだったと思う。ドニントンパークは初めてのコースだし、十分に時間をかけて練習したかったという意味で、あのトラブルは非常に痛かったね。レース終盤、後ろからペースの速いクルマが迫ってきてかなり厳しい状況だったが、なんとかしのぎきれたのは自信になった」
「決勝レース2は無難なスタートだった。決勝レース1よりも早めだが、タイヤ交換義務の消化をやはり先に伸ばしたのはやはり事前に立てた作戦どおりだった。そこで単独走行になったのは良かったが、自分の走りを試したりしていてペースが安定しなかったため、レース終盤にやはり後続に追いつかれる展開になってしまった。あの場面で1台に抜かれたら、失速して3、4台に抜かれる可能性が高いと思ったので、どこで自分が気をつけたらいいのかと考えながら走った。結論としては、第1コーナーとヘアピンカーブがある第3セクター。そこでミスしなければ抜かれることはないと。実際、そのとおりに走れたし、後ろの4台が互いにバトルし合ってタイムを落としていたので、最後は少し引き離して9位となった。決して落胆する成績ではないが、やはり公式合同テストできちんと走り込みたかったというのが正直な気持ちだ」