4年ぶりにデトロイト・ベルアイルパークで開催されたIZODインディカー・シリーズ第6戦。レース中にコース上のアスファルトがはがれるアクシデントが発生し、修復のため2時間中断した波乱のレースは、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)がポール・トゥ・ウインで今季初勝利を挙げた。2位にはダリオ・フランキッティが入り、ガナッシが2戦続けて1-2フィニッシュ。佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン)は、リタイアに終わっている。

 レースは青空の下でスタートが切られた。雨の心配もされたが、ファイアストンの新しいレイン・タイヤが投入されることはついになかった。

 全長2.07マイルのコースを90周するレースは、赤旗中断が長引いたために60周へと短縮された。赤旗の原因はコース路面の崩壊だった。ターン6などで溝を埋めたアスファルトが剥がれ、その破片にぶつかってジェイムズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポーツ)がクラッシュした。39周目のことだった。コース補修には2時間が必要とされた。レースが再開されたのは奇跡的だったとも言えた。

 ポールスタートだったディクソンは、2位を走るウィル・パワー(チーム・ペンスキー)にまったく付け入る隙を与えずにトップを走り続けた。1回目のピットストップは32周を終えたところで、2ストップでゴールまで走り切るための好燃費も実現していた。しかも、彼はピットアウトしてもトップの座を保っていた。

 赤旗中断後のリスタートでもディクソンはトップを守り通した。滑り易い路面に足をすくわれそうになりながらも、アグレッシブな走りで2位以下を寄せ付けなかった。ゴール前の2度目のリスタートで2番手に浮上して来たフランキッティにも、「今日の彼にはかなわない」と諦めさせる気迫のこもった走りだった。

「優勝できて本当に嬉しい。しかもチームは2戦連続1-2フィニッシュだ」とディクソンは今季初優勝を喜んでいた。「リスタート後のターン6、ターン7は非常に滑り易くなっていた。かなり際どい戦いだった」とも彼は語った。

 フランキッティの2位は、レース再開後の見事な戦いぶりによるものだった。中断時には6番手だった彼が、二度のリスタートで強敵たちを次々攻略したのだ。その面々とは、トニー・カナーン(KVRT)も、エリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)、そしてチャンピオンを争う最強のライバル、パワーも含まれていた。

 サイモン・ペジナウ(シュミット・ハミルトン)の3位も素晴らしい結果だ。予選4番手から終始安定した走りを続けていたペジナウは、最後のリスタートでフランキッティに先行を許したが、その前のリスタートではパワーを出し抜いて2番手に浮上していたのだ。

 佐藤琢磨にとっては悔しい1戦となった。ヒンチクリフがクラッシュした同じ周にターン12でクラッシュした。縁石に乗り上げてバランスを崩した結果だった。マシンのハンドリングが万全でなかったのは事実だが、赤旗中断まで生き残れていればトップ5を争うことができていたはずだ。

「マシンのバランスは自分の好みでなく、デトロイトはマシンを合わせるのが本当に難しい。ターン12で高い縁石に乗り上げ、ステアリングホイールに大きなキックバックを受けた。マシンはグリップを失い、それでレースを終えることとなった」と琢磨はコメントした。

 シボレーの4連勝の後に、ホンダが2連勝。エンジンの性能競争は互角の様相だ。燃費面でも、シーズン序盤はシボレーの完全優勢だったが、インディ500ではホンダが立場を逆転し、デトロイトではシボレーとホンダが全く互角の状況となっていた。これからのシーズンはますます白熱した戦いが繰り広げられそうだ。

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