2015年、かつてWTCC世界ツーリングカー選手権のプロモーターを務めていたマルセロ・ロッティを中心に立ち上がった新たな国際ツーリングカーシリーズ、TCR。2年目に向けて車種バラエティも増え、アジア圏でも大いに盛り上がりをみせそうな気配がある。

 TCRは、WTCCで使用されているTC1、以前のWTCC規定だったTC2に次ぐカテゴリーとして、当初『TC3』として構想されたカテゴリー。GTカーレースのGT3レギュレーションを参考とし、独自のバランス・オブ・パフォーマンス(性能調整)を設定。車両コストもリーズナブルで、幅広い車種の参戦が想定されていた。

 シリーズの1年目だった2015年シーズンは、F1の前座レースを含めたインターナショナルシリーズと、アジアシリーズを開催。開幕当初はワンメイクカップカーだったセアト・レオンが多数派で、WTCC用車両も製作するイタリアのJASモータースポーツが手がけたホンダ・シビックTCR、ドイツのエングストラーが走らせたアウディTT、プロチームのフォード・フォーカスST、ワンメイク用のオペル・アストラOPCといった程度の車種だった。

 しかしシリーズ中盤戦に向け、エングストラーがフォルクスワーゲン・ゴルフのTCRバージョンを製作し、トップを争う活躍をみせた。また終盤戦にはイタリアのトップ・ラン・モータースポーツがスバルWRX STIを独自にTCR仕様として開発。ただスバルは元WTCCドライバーのアラン・メニュをもってしても苦戦した。

 2年目の2016年シーズンは、4月のバーレーンを皮切りにヨーロッパを転戦。終盤にはアジアに渡り、タイ、シンガポール、マカオ、マレーシアでレースが開催される。車種バラエティも増加しそうで、オペルは新たに開催されるTCRドイツ選手権用も見据え、新型アストラのTCRバージョンをリリース。メーカーが関与しただけあり非常に戦闘力は高そうだ。

 また、GT3レース界の強豪であるWRTも、初年度インターナショナルシリーズ王者のステファノ・コミーニ、ジャン-カール・ベルネイを擁しゴルフでの参戦を表明したほか、ロメオ・フェラーリ製のアルファロメオ・ジュリエッタがTCR参戦のためにすでにテストを開始。トップ・ランのスバルも本格参戦に向けてテストを繰り返している。さらに、JASモータースポーツは、アジア圏のチームに向けたシビックのデリバリーを見据え、マレーシアに広大なファクトリーも建設する。

 もともとツーリングカーレースが盛んなアジア圏では、高騰するGT3カーのハードルが高まりつつあり、富裕層のプライベーターを中心に、TCRに大いに関心が寄せられている様子だ。日本でも少しずつ認知度が高まっているようで、すでに開催されているレースの併催としてTCRを導入する動きがあるとも噂されている。

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