2009年に注目を集めたニュースをピックアップするこのコーナー。今回は激動の2009年F1シーズンを振り返ります。暗いニュースが世間の注目を集める中、実は明るいニュースもたくさんあった一年でした。

 自動車メーカーの撤退、FIAとFOTAの紛争、新生ブラウンGPの活躍、新規チームの誕生、ダブルディフューザー問題、スキャンダル、大クラッシュ、小林可夢偉の衝撃のデビュー、ミハエル・シューマッハーの復帰決定……。ポジティブ、ネガティブ取り混ぜて、2009年のF1に起こった主な出来事をカウントダウン方式で振り返ります。

■10位:
BMWザウバー、フェラーリ、ルノー、レッドブルが“違法”ディフューザーに正式抗議
[レギュレーション大幅変更による影響]
 ダウンフォースの大幅低減、スリックタイヤの復活、KERSの導入、シーズン中のテスト禁止……。2009年にレギュレーションが大きく変更される中、ダブルディフューザーの適法性をめぐり論争が生じ、いくつかのチームはKERSをマシンのアドバンテージにできずに低迷、新人ドライバーはF1への適応に苦労しました。
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■9位:
2010年F1の13番目のチームはロータス。BMWザウバーも第14のチームとしてエントリー承認が今後検討
[2010年エントリー枠が13チームに拡大]
 WMSCで2010年の参戦枠が従来の10チームから13チームに拡大されることが決定。多数の新規チームがエントリーを申請、その中でカンポス・メタ、マノー、USF1のエントリーが承認されました。後にBMWザウバーの代わりにロータスがエントリー、最終戦直後にF1撤退を発表したトヨタの代わりにザウバーのエントリーが承認されました。当初は有力と見られたプロドライブは落選、後に、新規チームの選考条件としてコスワースエンジンの使用が強要されていたことが明らかになっています。
(関連ニュース)
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ザウバーのF1エントリーが承認。13番目のエントリー枠を獲得

■8位:
マッサ、頭蓋骨損傷により手術へ:ハンガリーGP予選
[マッサが大クラッシュ、一時は生命の危機に]
 ハンガリーGP予選走行中、前を走るルーベンス・バリチェロの駆るブラウンのサスペンションのパーツが飛び、マッサのヘルメットを直撃。失神したマッサはタイヤバリアに突っ込み、大けがを負いました。脳と左目へのダメージが心配されましたが、その後マッサは目覚ましい回復を見せ、現在、2010年のF1復帰に向けてトレーニングを順調に進めています。
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■7位:
ライコネン、シトロエンと1年契約。ジュニアチームでWRC 12戦に参戦
[主要ドライバー大移動]
 2010年に向けて多くのトップドライバーたちが移籍、転向しました。2009年に低迷したフェラーリは、チーム立て直しのため、マシン開発能力とリーダーシップに優れたフェルナンド・アロンソの獲得を早め、1年の契約を残してキミ・ライコネンを放出。ライコネンは以前から関心があったWRCへ。ホンダ時代から長きにわたって絆を深め、辛い時期を乗り越えてダブルタイトルを獲得したジェンソン・バトンとブラウンGPはまさかの決別、バトンはマクラーレンへと移籍、カーナンバー1を失ったブラウンGPの後身メルセデス・グランプリは、ステータスアップを狙い、ミハエル・シューマッハーを獲得しました。
(関連ニュース)
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■6位:
F1の分裂は回避決定へ モズレーの退任を条件にFIAとFOTAが合意
[FIA vs FOTA紛争]
 FIA会長マックス・モズレーが打ち出した厳しいバジェットキャップと二重構造のレギュレーションはチーム側の反発を呼び、両者は激しく対立。一時はシリーズ分裂が危惧されるところまで事態は悪化しました。結局はモズレーの引退を条件にチームが2010年エントリーを提出し、コンコルド協定を締結、当面の危機は去りましたが、秋の会長選ではモズレーが推すジャン・トッドが当選しています。
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新コンコルド協定締結をFIAが発表

■5位:
“シンガポール・ゲート”は有罪! ルノーに対して執行猶予付き永久資格剥奪処分
[史上類を見ないスキャンダルが発覚]
 ライバルの表彰台をかすめとるために偽証する。自分のシートを安泰にするため、自分のチームを生き延びさせるために、故意のクラッシュを画策、実行する――。2009年F1ではスポーツの意味を根底から覆すようなスキャンダルが発覚しました。F1に大きなダメージを与える醜い不正でしたが、FIA会長マックス・モズレーは、天敵ロン・デニスとフラビオ・ブリアトーレを葬り去ったのみで、当事者のチームとドライバーは実質的な処罰は免れています。
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■4位:
メルセデスGP、ミハエル・シューマッハーと正式契約!
[シューマッハー復帰騒動]
 ハンガリーでフェリペ・マッサが大怪我を負い、長期欠場が決定。苦況に陥ったフェラーリは、マッサの代役をミハエル・シューマッハーに依頼。シューマッハーは約3年ぶりの復帰を決め、世界中のファンの期待を集めますが、結局2月にバイクで負った首の故障が原因で断念することに……。ところがこの復帰話でシューマッハーの闘争心に火がついたらしく、シーズンオフになってライバルチーム新メルセデス・グランプリでのF1復帰の話が浮上、クリスマス直前に正式に契約が発表されました。2010年には、真のチャレンジャー、41歳の元チャンピオンの戦いぶりに注目しましょう。
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■3位:
ロス・ブラウン「チーム全員を誇りに思う」。元従業員たちにも感謝の念
[プライベーターの台頭、大手チームの不振]
 レギュレーションが大きく変更された2009年、フェラーリ、マクラーレンといった強豪をはじめとするメーカー系チームのほとんどが低迷し、一方でブラウン、レッドブル、フォース・インディアらプライベートチームが躍進、勢力図が大きく変わりました。中でも開幕直前まで参戦できるかどうかさえわからなかったブラウンのダブルタイトル獲得は、多くの人々が表現したように「まさにおとぎ話」のような奇跡で、暗い話題の多い一年の中で最も美しいニュースのひとつでした。
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スチュワート「バトンは批判を受けても品位を失わず、自分のやり方で結果を出した」――バトン&ブラウンへのお祝いメッセージ集(2)

■2位:
トヨタ、F1撤退を正式発表
[自動車メーカーの撤退]
 2008年のホンダに続き、2009年も7月にはBMW、11月にはトヨタがF1からの撤退を発表、ルノーはチームの株式を売却、ブリヂストンも2012年以降はF1活動を行わないことを明らかにしました。2009年、チームは、世界的不況、レギュレーション変更をめぐるFIAとFOTAの激しい対立、一連のスキャンダルによるF1のイメージ低下といった数々の苦難に見舞われ、タイトル獲得あるいは優勝といった目標を達成できなかったチームの親会社は、次々とF1から手を引いていきました。そんな中、メルセデスがブラウンGPを買収して完全ワークス体制でF1活動を継続していく決断をしたことは救いでした。
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■1位:
小林可夢偉、ザウバーF1と正式契約! 2010年のF1フル参戦決定
[新人可夢偉の大活躍]
 GP2アジアでチャンピオンを獲りながら、2009年のGP2メインシリーズでは思うような成績を残せなかった小林可夢偉。しかし、日本GPでのティモ・グロックの怪我により、F1シーズン最後の2戦にトヨタから出場するチャンスをつかむと、度胸の据わった走りで、世界に強く印象付け、一気に注目の存在に。そして、トヨタのF1撤退という危機にも負けず、見事にザウバーのシートをつかみ、大勢のファンを安堵、狂喜させました。2010年F1の一番の注目は、もちろん、F1に初のフル参戦を果たす可夢偉の走りです!
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