11月10日に開催された、全日本選手権スーパーフォーミュラ最終戦鈴鹿で逆転で2013年のドライバーズチャンピオンを獲得した山本尚貴(TEAM無限)。22日には、恒例のJAF表彰式が行われ、再びSF王者のみが掲げることができるビッグトロフィーを受け取ったが、そんな山本に、来季に向けた意気込みを聞いた。
今季、TEAM無限で3シーズン目のトップフォーミュラを戦った山本は、最終戦を前にランキング首位だったアンドレ・ロッテラー(PETRONAS TOM'S)、ロイック・デュバル(KYGNUS SUNOCO)という、最終戦を欠場したふたりがランキング1位〜2位を占めていたが、2レース制の最終戦で山本は連続PP&1勝+3位と、驚異的な活躍をみせ、見事逆転チャンピオンを成し遂げた。
そんな最終戦鈴鹿から2週間。東京・渋谷で開催されたJAFモータースポーツ表彰式に、ブラックのスーツに身を固め姿をみせた山本は、再びトロフィーを受け取ると笑顔をみせた。
「2週間たって、ようやくチャンピオンなんだと実感できています。こうして表彰されればされるほど、実感が湧いてきますね」と表彰式の最中に語った山本。
「レースはひとりで運転しなければならないし孤独なんですけど、特に最終戦については『頑張って』と声をかけてもらうことが多かったので、自分はひとりじゃないと支えになりました。レース後、見たことがないくらいのメールを皆さんからいただきましたし、改めて『ひとりじゃなかったんだ』と感じましたね」
そんな山本は、2009年に全日本F3のNクラスで佐藤公哉を下し王者を獲得、2010年にNAKAJIMA RACINGから当時のフォーミュラ・ニッポンにステップアップ。11年からはTEAM無限に移籍し、1台体制の中でデータ不足に苦しんだ時期もあった。しかし、今季は佐藤琢磨と小林崇志が交代で2台体制となったことや、新たなエンジニアを招聘したこともあり、常に上位で戦えるようになった。
これまで、苦しい時期には露骨に悔しさを示したこともあったが、今回のチャンピオン獲得、そして初優勝を遂げたことで、山本には新たな目標が設定されるはずだ。では、山本の“次なる目標”はなんだろうか。
「現状まだ何も決まっていないので、具体的な目標はまだ定まっていないですけど、もし日本国内のレースに参戦するとなればスーパーフォーミュラに関してはチャンピオンの名に恥じないような戦いをしたいと思いますし、連覇したいと思っています」と山本は語る。
「今年は真のチャンピオンではないと思っていて、彼ら(ロッテラー、デュバル)が欠場したからチャンピオンを獲れた部分は大いにある。来年、もしそういう場があればしっかり1年を通して戦って、チャンピオンを獲りたいと思っています。それができた時に真のチャンピオンになれるんじゃないかと思います」
こう言う山本だが、“日本国内のレースに参戦するとなれば”というのは気になるフレーズだ。山本の中で、海外への挑戦というものも視野に入っているのだろうか?
「今までは漠然と『海外でレースをしたい』とか『世界で戦ってみたい』というのは夢としてあったんですけど、2週間たって、少し状況が落ち着いてきて物事を考えてみたときに、より現実的な目標として『世界で戦いたい』という気持ちが芽生えてきたと思っています」と山本は言う。
折しも、2015年からホンダがF1に復帰する。国内で戦う若手のホンダドライバーたちは、ホンダF1復帰の報の後、誰もが新たな目標の復活を喜んだ。山本は最後に、具体的な“世界”について語ってくれた。
「僕が目指すのはそこだけです。2015年からホンダさんがF1にエンジンサプライヤーとして復帰するので、『世界で戦う』とひと言で言っても、僕にとって『世界で戦う』というのはそこだけなので」
「そういった意味でも来年が勝負だと思っているので、その目標に向けて自分でできることを、まわりの方の協力がないといけないですけど、すべてを巻き込んでというか、すべてを自分に惹きつけて、そういうチャンスをもらえるようにしたいとは思っています」
アジア最速のフォーミュラカーレースを制し、具体的に“世界”について言及した山本。来季に向けた動きは、ヨーロッパでも日本でもまだまだこれからだ。「将来的な視野を含めて1年間戦いたい」という今後の山本の去就には注目かもしれない。