今季のフォーミュラ・ニッポン第6戦オートポリスで予選Q3中に発生した赤旗をめぐり紛糾した“5分間ルール”。ドライバーの組織FRDAでは、このルールを撤廃するよう最終戦前に要望を出していたが、結果的には今季中の変更はできず、来季に向け再度JRPと協力してルール変更を要望していくこととなった。
フォーミュラ・ニッポン第6戦オートポリスの予選Q3で、セッション開始後最初にアタックに向かったアンドレ・ロッテラー(PETRONAS TOM'S)がスピン、マシン回収のため赤旗が提示されそのままセッションが終了、他のドライバーはほとんどアタックできていないまま、スピンしたロッテラーがポールポジションを獲得(その後ペナルティで降格)した事から本格的な議論となったこの“5分間ルール”。
この規則は、全日本選手権フォーミュラ・ニッポン統一規則に記載されているもので、『公式予選中に連続した5分間、黄旗もしくは赤旗の提示がなかった場合、当該セッションの終了時間は延長されない。上記5分間の確保ができなかった場合に限り、当該セッションの終了時刻は、5分延長される』というもの。5分間赤旗無しでセッションが推移していた場合、その後赤旗が提示されればセッションはその場で終了となるものだ。
2008年からフォーミュラ・ニッポンではノックアウト形式の予選が採用され、各ドライバーは、Q2、Q3では10分間のセッションの残り6〜7分でピットアウト、コンディションが向上するチェッカー周に向け1〜2回のアタックを行うことが通常となっており、この規則はオートポリス戦のような問題を引き起こす原因として考えられていた。
オートポリス戦の予選日夜、当事者となったロッテラーを含め、FRDA(フォーミュラ・レーシングドライバー・アソシエイション)では自発的にミーティングを開催。解決策を話し合った結果、“5分間ルール”の撤廃をフォーミュラ・ニッポン最終戦鈴鹿で実施するための要望書をドライバー、チームオーナーの署名を集め提出。鈴鹿では、FRDAとJRP(日本レースプロモーション)の間でミーティングが開催され、この件の結果について報告があったという。
結果から言えば、JRPを通じて提出された要望は「シーズン中の規則変更はできない」と残念ながら通らず、“5分間ルール”はそのままに予選は開催された。鈴鹿での予選ではスピン、クラッシュ等を喫するマシンは現れなかったため無事に予選は終わることとなった。
ただ、FRDAの会長を務める石浦宏明(Team LeMans)によれば、来季に向けて“5分間ルール”を撤廃するよう要望をJRPから出してもらったという。FRDAとJRPは今季関係が深まり、今季からJRPの新社長に就任した白井裕社長からも「要望はもっと言ってほしい」とFRDA側に声をかけるシーンもあったという。
「スーパーGTであればGTアソシエイションでルールを変えることができるんですが、フォーミュラ・ニッポンは全日本選手権なので、JAF(日本自動車連盟)でしかルールを変えることはできないんです。だから、JRPからは要望を出すことしかすることができない。今までは僕たちドライバーも『JRPに言えばルールを変えてくれるだろう』と思っていたところもあったんですが、FRDAでは今後、JRPと協力して、ルールを変えてくれるように要望をしていくことになりました」と石浦。
すでに来季に向けたレギュレーションの草案が決まっているとのことだが、ドライバーにとっても、ファンにとっても楽しめるレギュレーション作りを願いたいところだ。
