1997年に活動が開始されたARTA Projectにとって、GT500とGT300の両クラスで優勝を果たすこととなったスポーツランドSUGOでのスーパーGT第4戦は、まさに歴史に残るレースとなった。

 元F1ドライバーの鈴木亜久里がプロデューサーとして、世界で戦えるドライバーを育てるべく1997年に誕生したARTA Project。スーパーGT500クラスには1998年から参戦を開始し、当初はニッサン・スカイラインGT-Rでの参戦、そして2000年からはホンダNSX、2010年からはホンダHSV-010で参戦を続けている。

 またGT300については、2001年からトヨタMR-S、そして一時参戦を休止した時期もあったものの、“オートバックスの夢のマシン”であるARTA Garaiyaで参戦を続け、2013年からはハイブリッドカーのホンダCR-Z GTでの参戦を果たしている。

 スーパーGT/JGTC参戦から15年におよぶ歴史の中で、GT500とGT300の両クラスで同時に優勝を果たしたのはこれが初めてのこと。その中核にいる鈴木亜久里プロデューサーと土屋圭市エグゼクティブアドバイザーに、レース後話を聞いた。

「長い間GT500でも優勝がなかったし、とにかく2010年の第6戦鈴鹿以来勝っていないんだからね(笑)。今日は大変なレースだったけど、結果的にこうして勝つことができてすごく嬉しい」と満面の笑みで語る亜久里プロデューサー。

「前回のマレーシアからCR-Zが速くなってきて、タイヤとのマッチングも良くなり、速くなってきて、いい方向に向かっているんじゃないかと感じていた。とにかく、ARTAとして両クラスの2台が同時に優勝したのは初めてなので、すごく嬉しいし、スーパーGTの戦いの中で低迷していた時期が長かったので、そういう意味でも本当に嬉しいよね」

 レース展開については「両クラスとも難しいレースだったと思うけど、ミスをしないで走り切れたのが良かった。(松浦)孝亮も(伊藤)大輔に一度抜かれたのをまた抜き返してくれたし、いいレースでした。簡単なレースではなかったし、そんな中で今日の孝亮は冷静にレースをこなしてくれた」と満足そう。

 一方、GT300については「後半のスティントではレインタイヤに換えさせようと思って、小林(崇志)に『ピットに入れ』と無線で伝えたんだけど、拒否されたんだよ。結果的には小林の判断が当たっていたんだけどね(笑)」と苦笑いだった。

 亜久里プロデューサーとともにARTAを引っ張ってきた土屋エグゼクティブアドバイザーは「今日は神が下りてきたような感じだった。実力で言ったら、GT300については今日は16号車MUGEN CR-Z GTや61号車(SUBARU BRZ R&D SPORT)に前に行かれていてもおかしくなかったと思う。ドライバーの頑張りがあってのことだけれど、雨が降ってきたおかげで差を詰めていくことができたし、とにかく今日は運もツキも流れもあった」と興奮気味に語っていた。

「これまで30数年レースに関わってきているけれど、こんなのは初めて。本当に奇跡的なレースになったよね」

「これをきっかけに、これからは『ARTAの逆襲』を始めたいね」と亜久里プロデュサーは目を輝かせていた。今後のARTA勢の活躍に注目しよう。

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