DTMドイツツーリングカー選手権が、今季の公式戦に向けてオーバーテイクの機会とレースストラテジーの多様化を目指すべく、F1同様のDRS(ドラッグ・リダクション・システム)とオプションタイヤを今季から導入することが確定的となった。
これはDTMのシリーズオーガナイザーであるITRが英AUTOSPORTに対して認めたもの。DRSとオプションタイヤは、先月のバルセロナテストでテストされ、ドライバーたちからも好評を得ていた。このDRSの導入に向けてITRではルールを定め、2秒以内に前走車が走っていた場合にDRSを作動させることができ、すべてのドライバーが1周あたり1回だけ、コースの場所を問わずDRSを使うことが可能だとしている。
DTMで使われるDRSは、シングルプレーンのリヤウイングの前端を引き上げることにより、ウイングの角度が15度フラットにされ空気抵抗を軽減、ストレートスピードを伸ばすことができる。ドライバーがブレーキを踏むとDRSが解除され、リヤウイングが元に戻り、ダウンフォースを発生する仕組みだ。
ドイツの自動車連盟にあたるDMSBの総書記を務め、ITRとともにDRSとオプションタイヤの研究を続けてきたクリスチャン・シャフトは「DTMは非常に革新的で、結果的に多くの結論を出すことができた。DRSとオプションタイヤはテストの間達成した多くの仕事の結果だ」と語る。
「安全は我々にとって重要であり、今回最も技術的に重要だったことは、作動したDRSが確実に元の位置に戻ることだったんだ」
また、ハンコックのオプションタイヤは1スティントの最初の5周で、ラップタイムを1秒向上させることを狙いとしており、2013年シーズンはピットウインドウの幅を広げることになるという。
なお、2014年からDTMと車両規定を統一することになるスーパーGTだが、GTアソシエイションの坂東正明代表はスーパーGTでのDRS使用について、「DTMとは置かれている状況が違うので、すぐに使うことになるとは思っていない」と語っている。