ドイツの自動車連盟にあたるDMSBは30日、DTMドイツツーリングカー選手権第5戦ノリスリンクで失格裁定が下されたマティアス・エクストロームに対する、アウディスポーツ・チーム・アプトスポーツラインからの控訴を棄却するとともに、「このレースのウイナーはいない」とする裁定を下した。
7月14日にノリスリンクで開催されたDTM第5戦では、予選9番手からスタートしたエクストロームがトップでチェッカーを受け優勝を飾った。しかし、喜びに沸くパルクフェルメで、エクストロームの父親であるベントさんが、ペットボトルの水をエクストロームのレーシングスーツのポケットに注ぎ込んでしまった。
通常レース後のマシン、ドライバーに対してパルクフェルメにおいては接触が制限されており、このエクストロームに対して行われた行為は「レース後の検査までの間、いかなる物質または素材が加えられてはならない」というパルクフェルメ規定に違反するとして、レース後エクストロームには失格裁定が下され、チームは裁定に対して控訴していた。
この控訴に対しDMSBは30日、訴えを却下するとともに、このDTM第5戦ノリスリンクには、「いかなるウイナーも存在しない」という決定をした。この結果、2位でフィニッシュしたロバート・ウィケンス(メルセデスベンツCクラスクーペ)が“最上位”という結果となり、通常ウイナーに与えられる25ポイントは誰にも与えられないことが決まった。
エクストロームの失格により、他のドライバーの順位が繰り上がらない理由についてDMSBでは、エクストロームのアウディRS5 DTMが、この失格行為によりいかなるアドバンテージも得てはおらず、エクストロームはスポーツという観点でレースを制したことは認められるからだとしている。
「我々が次戦モスクワでのレースに向かうにあたり、DMSBがこうして不安定な問題をすべて解決してくれたことに感謝したい」とDTMを運営するITR e.Vのハンス-ベルナー・アウフレヒト代表はコメントした。
また、この裁定についてアウディスポーツ・チーム・アプトスポーツラインのチーム代表、ユルゲン・アプトは「スポーツの精神に則り、我々はDMSBの裁定を尊重したい」とするコメントをリリースしている。