全日本選手権フォーミュラ・ニッポンは最終戦を残すのみだが、8日から2日間、鈴鹿サーキットでJRPと2メーカーが主催するエンジンテストが行われ、伊藤大輔、井口卓人、井出有治の3人が2台のFN09を走らせた。
全日本選手権フォーミュラ・ニッポン(FN)を運営する日本レースプロモーション(JRP)が“エンジンテスト”と位置づける、今季マシンFN09の開発・熟成作業が、快晴の鈴鹿サーキットを舞台に9月8日より2日間の日程で始まった。テストはJRPと、トヨタおよびホンダの主導によるもので、各マニュファクチャラーが1台ずつ保有するFN09を用いて行われ、トヨタはルマンへ、ホンダはM-TECへ、これまでのテストと同じく現場作業の一部を外部へ任せた。
いずれのマニュファクチャラーも、今季のFN参戦ドライバーを起用しないという紳士協定に則り、トヨタは伊藤大輔と井口卓人に、ホンダは井出有治に本日の走行を任せた。ちなみに9日の走行では、トヨタは本山哲(スーパーGTドライバー)に、ホンダは引き続き井出に任せる予定である。
今回のテストメニューのひとつは、9月26〜27日にスポーツランドSUGOで開催されるFN最終戦に向けたエンジンのさらなる最適化はもちろん、来季を見越したエンジンの開発・熟成作業であるとJRPと各マニュファクチャラーは説明している。もうひとつのテストメニューはブレーキである。もっとも、シーズン開幕前やシーズン序盤戦に疑問視されたブレーキの信頼性や耐久性はすでに解決されており、もはや実戦でも問題ないことが証明されている。こうして現在では、より高性能なブレーキの開発へと焦点は移っている。
8日の午後2時から午後3時までの1時間の走行枠では、ホンダ保有のFN09には井出が乗り込み、トヨタ保有のFN09には井口が乗り込んだ。走行開始直後、井口はピットロードからコースへ出た途端にハーフスピン、ガードレールに接触した。右フロントウイングの翼端板底部にある金属板が曲がり、右の前輪はホイールが壊れてタイヤはパンクしたが、修復に長時間を要するダメージでなかったのは幸いだった。一方の井出は、順調に周回を重ねてメニューをこなした。
速さを追求するメニューではないのであくまで参考であるが、井出は1分45秒610、井口は1分46秒993のベストラップタイムをそれぞれ記録した。
午後4時から午後5時30分の1時間半の走行枠では、ホンダ保有のFN09には引き続き井出が乗り込み、トヨタ保有のFN09には伊藤が乗り込んだ。こちらも参考ではあるが、井出は1分43秒086、伊藤は1分43秒946のベストラップタイムをそれぞれ記録した。
なお、今回のテストにおいては、パドルシフトシステムやオーバーテイクボタンなどに続く、新たなデバイスの本格的な開発・熟成作業が行われた。JRPが来季の採用を目指したデバイス(ただし、搭載は各チームの任意選択制)であり、概要については追って報告する予定だ。