金曜日とは異なり、涼しい気候の下行われたブラジルGPの予選。ポールポジションを獲得したのは、メルセデスAMGのニコ・ロズベルグでした。これでロズベルグはフリー走行1回目から全てのセッションでトップタイムを記録したこととなり、決勝レースで優勝すれば、ブラジルGPを完全制覇することになります。また、今季10回目のポールポジション獲得となり、今季から設立された、最多ポールポジション獲得者に与えられる“ポールポジショントロフィー”を獲得しました。

 ポイントランキングで現在2位につけるロズベルグは、逆転で年間チャンピオンを獲得するためには、決勝レースでの勝利が非常に重要となってきます。当然、最大の敵となるのは、タイトルを争うライバル、ルイス・ハミルトンです。ハミルトンは全セッション2位。今季これまでのレースでも、ロズベルグの方が予選で前方のグリッドを獲得しても、後方からスタートするハミルトンが勝負強さを発揮し、レースで逆転するという事が度々ありました。そういう例を思い返せば、今回もハミルトン有利……と思ってしまいます。これをロズベルグがどう阻止するのか、という点が、今回の最大の注目点となります。

 なお、金曜日と土曜日フリー走行3回目では、メルセデスAMGのふたりは念入りにロングラン走行を行いました。このペースは、ふたりともほとんど互角。この点から判断するに、決勝での優劣は、ピットストップのタイミングを含む戦略と、コース上での1対1の勝負が、左右することになりそうです。

 ところで、今回のレースでメルセデスAMGが楽勝できるか……というと、そんなことはなさそうです。勢いに乗るライバルがいます。それは、同じメルセデス製パワーユニットを積むウイリアムズの2台です。特に母国凱旋レースとなるフェリペ・マッサは、ノリに乗っている感があります。

 そのマッサは予選終了後、「エンジンの始動に問題があり、トラフィックに引っかかってしまった」と、ポールポジション獲得を逃したことを、非常に残念がっていました。ただ逆を言えば、それだけ手応えがあったということ。チームメイトのバルテリ・ボッタスと共に、メルセデスが警戒しなければならない存在ということになりそうです。とはいえ初日のフリー走行での連続走行を見る限り、メルセデスよりもタイヤに厳しい傾向にある様子。つまり、タイヤのデグラデーションが大きく、メルセデスAMGから徐々に離されていってしまう……という可能性もあり、早めにミディアムタイヤに交換する戦略を採ってくるかもしれません。

 予選5番手はマクラーレンのジェンソン・バトンでした。マクラーレンは終盤の進化が著しく、特にシンガポールGP以降は上位争いに加わるようになってきました。ただ、今回上位の4台とは最小でも0.6秒以上と非常に大きな差があり、コース上で戦うのは難しいと言わざるを得ません。

 このバトン以下が大混戦です。5番手バトンと10番手キミ・ライコネン(フェラーリ)の差は、僅か0.169秒。入賞圏内6台は、おそらく数珠つなぎの、接戦バトルを展開するはず。この争いも、ブラジルGPの見所になるでしょう。

 決勝の戦略ですが、ピレリによればソフト→ミディアム→ミディアム→ミディアムの3ストップが一番速いものの、トラフィック等を考えソフト→ミディアム→ミディアムという2ストップを推奨しています。ただ、FP3での各車の走りを見ますと、初日よりも気温が下がったことで、ソフトタイヤが長持ちする傾向にあるようです。気温次第では、ソフトタイヤを多用するチームも、出てくるかもしれません。

 気になるのは決勝レース時の天候です。実は予選も雨の可能性が示唆されていましたが、結局降ることはありませんでした。決勝レースの時間帯も、雨が予想されていて、それが結果に影響してくるかもしれません。一番大きく影響を受けそうなのは、ウイリアムズの2台。彼らはウエットコンディションを非常に苦手としており、最近では鈴鹿での日本GPで、ドライの予選で3・4番手を獲得したにもかかわらず、ウエットコンディションとなった決勝レースで6・7番手に後退するということがありました。ウイリアムズは、てるてる坊主を吊るしてでも、雨が降らないことを願うはずです。

 さて、そのブラジルGP決勝レースは、本日25時スタート予定。今季のチャンピオンの行方を担う非常に重要なグランプリになるとともに、1〜4位、5〜10位の非常に見応えあるバトルが展開されそうです。どうぞお見逃しなく。

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