いよいよ開幕しました2015年のF1世界選手権。先ほど、初日の走行セッションが終了致しました。昨年のF1は、メルセデスAMGが圧倒的なまでの速さを見せて19戦中16勝。見事ダブルタイトルを獲得しました。彼らの強さは今年はどうなのか? 各車が連続走行を行ったフリー走行2回目(FP2)の走行結果から検証してみることにしましょう。

 FP2でベストタイムを記録したのは、メルセデスAMGのニコ・ロズベルグでした。そして、0.1秒差の2番手には、チームメイトのルイス・ハミルトン。今年もこのふたりは、非常に熾烈な、僅差の戦いを我々に見せてくれそうです。

 メルセデスAMGに次いで3番手につけたのは、フェラーリに移籍したセバスチャン・ベッテルです。しかし、3番手とはいえ、首位のロズベルグからは0.7秒以上の遅れ。これだけ見れば、「今年もメルセデスAMGの圧勝は間違いなし!」と断言したくなるような、そんな圧倒的な差と思えます。

 しかし、F1は1周の速さだけで勝負するものではありません。決勝は305kmの距離を走り切らねばならないのです。たしかに、ここまでの走行を見る限り、メルセデスAMGが予選でフロントロウを占める可能性は高いでしょう。しかし、決勝ではそう簡単にいきそうもありません。フェラーリが、メルセデスAMG並かそれ以上の、レースペースを持っていそうなのです。中でも、ベッテルのチームメイトであるキミ・ライコネンが、非常にレベルの高いロングランを、FP2で披露したのです。

 ライコネンはセッション後半、ソフトタイヤを履いて17周にわたる連続走行を行いました。この時のラップタイムは、綺麗に1分32秒台で揃っています。しかも、走行するに連れてペースの向上が見られ、このロングランの13周目と14周目には、1分31秒台を記録しています。つまり、タイヤのデグラデーション(性能劣化)がほとんど見られないということ。フェラーリが、レースでかなり高い戦闘力を秘めていると感じさせるデータです。ベッテルも同時期にミディアムタイヤでのロングランを行い、ソフトを履いたライコネンよりも0.5秒程度遅いペースで走っています。このベッテルのペースも非常に安定していました。

 対するメルセデスAMGも、当然高いレベルのロングランを行っています。ロズベルグはソフトタイヤで12周の連続走行を行いましたが、まず最初に1分31秒台を記録すると、徐々にペースが落ち、最終的には1分32秒4でロングランを終えています。ハミルトンにも同様の傾向が伺えます。

 絶対的なラップタイムは、メルセデスAMGの方が速いでしょう。そのため、レースがスタートし、序盤はメルセデスAMGのふたりが逃げるという展開になる可能性が高いです。しかし、メルセデスAMGのタイヤが劣化し、ペースが徐々に落ちてくるはず。そこにペースを守ったフェラーリの2台が襲いかかる……そんな展開が予想できます。あるいは、フェラーリはメルセデスAMGよりもタイヤ交換の回数を少なくして勝利を目指す……そんな戦い方もできるかもしれません。

 FP2で両者が同じ条件で走っていたとは、たしかに言い切れません。昨年のように、メルセデスAMGが本来のポテンシャルを隠し持っているのかもしれません。しかし、レースでのフェラーリは間違いなく速いはず。打倒メルセデスAMGの筆頭は、フェラーリでしょう。

 さて、その後方にも目を転じてみましょう。メルセデスAMGとフェラーリに続くのは、昨年大躍進のウイリアムズです。彼らは今季も速そうですが、タイヤには厳しい傾向にあるようで、ロングランの後半では大きくペースを落としています。そのため、メルセデスAMGやフェラーリに勝負を挑むのは難しそうです。

 そのウイリアムズにとって脅威になりそうなのは、ロータスです。昨年は大苦戦したロータスですが、メルセデス製のパワーユニットを得て、躍進の兆しを見せています。ロマン・グロージャンが22周にわたるロングランを行いましたが、ほとんどペースを落とすことなく、1分33秒台で走り切っています。ウイリアムズのペースが極端に落ちるようなことがあれば、逆転の可能性があります。

 ウイリアムズとロータスに続く次の集団は、大混戦になりそうです。ここに入るのは、レッドブル、トロロッソ、ザウバーの3チームです。

 今週がF1デビューとなるトロロッソのカルロス・サインツJr.は、FP2に出走した16人の中で最も多い41周を走行。デビュー戦とは思えないほど、安定したペースを披露しました。本家レッドブルは、加入したばかりのダニール・クビアトがロングランを担当(ダニエル・リカルドはトラブルのために走行できず)。彼らふたりにザウバーのルーキー、フェリペ・ナスルを加えた3人が、ほぼ同様のペースでロングランを行っています。彼ら3チーム6人が、入賞を賭けた僅差のバトルを繰り広げることでしょう。

 これに続くのはフォース・インディアですが、まだマシンの開発が思うように進んでいないと言われていて、上位に引き離されてしまっています(レッドブルらの集団からも0.5秒程度遅れ)。ペース自体は安定していますが、今回のグランプリでは上位も非常に安定したペースを刻んでおり、“レースに強い”フォース・インディアと言えども、苦戦を強いられることになりそうです。

 最後に、我ら期待のマクラーレン・ホンダですが、正直に申し上げて、フォース・インディアよりもさらに苦戦している印象です。バトンは7周の連続走行を行いましたが、1分35秒台がやっとというところ。ほとんどの周回で1分36〜37秒台です。ブレーキ・バイ・ワイヤのセッティングなど、まだまだ準備が間に合っていない部分も多いということですが、このペースを見る限り、今回ライバルと戦うのは難しそうと言わざるを得ません。バトンは「グリッド最後列になりたくない」というコメントを出していましたが、現段階では“最下位にならない”ということが、現実的な目標なのかもしれません。とはいえ、土曜日のフリー走行では、様々な部分で改善してくるはず。明日はこの点にも注目したいところです。

 メルセデスAMGはまだまだ速さを秘めているのか? また、フェラーリの速さはホンモノなのか? そしてマクラーレン・ホンダがどこまで上昇してくるのか? 土曜日のフリー走行3回目、そして予選からも目が離せません。

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