メルセデスのライバル、フェラーリ、ロータス、レッドブルは、ピレリがスペインGPの後に現行マシンを用いたテストを行ったことについて、自分たちのもとには“具体的なオファー”がなされなかったと明らかにした。
メルセデスは、スペインGPの後にピレリと3日間に及ぶタイヤテストを行い、ルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグが2013年仕様のマシンをドライブ、トータル1000kmにも及ぶ距離を走行した。これについて、ライバルチームの多くは不満を表明しており、フェラーリとレッドブルはFIAに抗議文を提出。今後この問題はFIAの国際法廷へ持ち込まれるものと見られている。
FIAは先日、メルセデスのタイヤテストに現行の2013年型マシンを用いるには、全チームに同様の機会を与えることが条件になるとの見解をピレリ側に伝えていたことを明らかにしたが、多くのチームはそうした情報を受けとっていないと述べている。レギュレーションでF1のテストが規制されている現在は、チーム間の特別協定もあり、若手ドライバーテスト以外はいかなる形においても現行マシンでのテスト走行は違反にあたるとされている。
レッドブル代表のクリスチャン・ホーナーは、昨年ピレリから個別のタイヤテストに関する手紙を受け取ったが、現行マシンの使用が可能かどうかの具体的な記述はなかったと語った。
「我々は、それがレギュレーションの範囲内であるとは考えられなかった」とホーナー。
「もちろん、ピレリは長い間テストを望んでいた。そのため、妥協案として行き着いたのがロータスのマシン(2010年型ルノーR30)を使用することだった。彼らはトヨタのマシン(2009年型TF109のアップデート版)も保有していたが、もはやそれは時代遅れのものだ」
「ある時期には、チャンピオンチームのマシンでテストを行うという提案もあった。だが、ライバルチームからは当然のこととして受け入れられなかった。いずれにしても、満場一致でなければならなかった」
フェラーリ代表のステファノ・ドメニカリも、次のように語っている。
「2年にわたり、ピレリがいくつかのテスト走行をすべてのチームにオファーをしていたことは明らかだ。ただ、我々が(現行マシンで)走れないのは非常に明白だった。よって、彼らが正式にオファーをしなくとも、それが可能だとは考えていなかった」
ロータスは、フェラーリやレッドブルと同じくFIAに正式な抗議を行っていないが、チーム代表のエリック・ブーリエは、現状に不満を抱いていることを明らかにしている。
ブーリエは、ロータスが2013年型マシンでのテストをオファーされれば、引き受けたかとの問いに「ノー」と答え、こう続けた。
「(FIAが許可したという)同じような噂を耳にした。しかし、いかなる許可が与えられたとしても、それは皆に認められるべきだったし、少なくとも皆が知っているようにするべきだ」