鈴鹿の日本GPから2週間、F1は今週末、開催2年目となるソチでのロシアGPを迎えました。2014年冬季オリンピックの会場跡地を利用したソチ・オートドロームでの一戦。ただ、初日の金曜は降りしきる雨と珍しいアクシデントによって各チームとも十分な走行ができないまま終わってしまいました。

 最初の走行となったフリープラクティス1(FP1)は、コース上の一部区間にオイル(ディーゼル燃料)が漏れていたため、はじめの30分が清掃作業にあてられ、実際に走行できたのは60分。このオイルは、前日夕方にコースの清掃車両から漏れたことが分かっていますが、急遽清掃された区間はセッション終盤まで濡れた状態が続き、スピンするマシンも続出。ドライバーは全開で1周を走ることができませんでした
 また、午後のFP2はセッション前に降り始めた雨によって終始ウエットコンディションに。セクター2ではドライ路面に近い状況もみられましたが、ピットエリアに近いセクター1とセクター3はヘビーウエットで多くのドライバーが走行を控える状況となり、最終的にタイムを記録したのは20台中8台と寂しい結果になってしまいました。

 これには、予選日の土曜と決勝日の日曜がいずれもドライコンディションになるという予報も関係しています。このような展開は前回の鈴鹿によく似た状況でもあり、初日を終えたドライバーたちも、「土日に役立てる走行はできなかった」という主旨のコメントを口々に語っています。

 今回の舞台となるソチ・オートドロームは、高低差の少ない滑らかな路面が特徴的で、大部分を占める中速コーナーにタイヤを休ませることのできる長いストレートがあるという特性を持ったサーキットです。昨年は、スタート直後にフラットスポットを作ったニコ・ロズベルグが1周目の終わりにタイヤ交換を行った後、チェッカーまでの52周(300km以上)をミディアムタイヤで走り切るという特異な状況が発生。ベストタイムもラスト2周で記録されました。

 ただ、今年に関しては、昨年の展開も踏まえて一段階柔らかいソフトとスーパーソフトという2種類のコンパウンドが持ち込まれています。特にソチで初めて使用されるスーパーソフトには注目。おそらく予選でアタックタイヤとして使用されるスーパーソフトは、決勝のファーストスティントを任されると考えられるため、そこでのロングランをいかにマネージすることができるか。タイヤの摩耗とデグラデーションレベルは、全体的に低いと予想されているので、スーパーソフトの性能を引き出すことも同時に求められるでしょう。

 ちなみに、前回スーパーソフトとソフトが持ち込まれたシンガポールではフェラーリとレッドブルが速さを発揮しました。特にレッドブルは金曜のロングランで最も良いペースを記録、決勝でもダニエル・リカルドが2位を獲得し、フェラーリのふたりと表彰台を分け合いました。
 リカルドはこのソチについて、「相性がベストのサーキットというわけではない」と語っていますが、セクター1の中速コーナーや低速コーナーが連続するセクター3などではRB11のシャシー性能も武器になりそう。また、ロズベルグが警戒しているシンガポールウイナーのフェラーリも上位の一角を占めるでしょう。
 一方、そのシンガポールで謎の失速を喫したメルセデスは、同じスーパーソフトとソフトでどんなパフォーマンスを見せるのか。鈴鹿(ミディアム&ハード)ではいつも通りの速さを取り戻しているだけに、こちらも非常に興味深い見どころとなりそうです。

 いずれにしろ、この後行われる土曜のフリー走行が非常に重要となります。果たして、どのマシンが速さを見せるのか、FP3は日本時間で18時開始です。

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