この週末は、フェルナンド・アロンソにとって特別なグランプリだ。母国というだけではなく、スペインGPの舞台は今年2月のテスト中に事故が起きたバルセロナだからである。しかし、アロンソは再びカタルニア・サーキットを走るのは「何の不安もない」と不安視する声を一蹴した。
「もう3カ月前の出来事だ。確かに事故が起きたことは不運で、回復に少し時間がかかったことは残念だった。でも、いま私の心の中に、あの事故の悪い記憶はない」
テストでの事故がアロンソにとって悪夢となっていないことは、レース後に当時入院していた病院のスタッフと食事をする計画があることからもよくわかる。
だが、今週末のアロンソには別の問題が降りかかっている。それは、目のトラブルだ。発覚したのは木曜日のFIA会見。地元スペイン人ドライバーであるアロンソ、カルロス・サインツJr.、ロベルト・メリらが出席し、当然その中央にはアロンソが座ったのだが、会見が始まってもアロンソだけサングラスを取らなかったのだ。
今月の初めにアロンソは右目の下まぶたに「ものもらい」を発症。医師から「目に強い刺激を与えないように」と指示を受けていたのである。結局アロンソは約30分間の会見中、一度もサングラスを外すことはなかった。アロンソは、その日の夜に開催されたタグ・ホイヤーのイペントにもサングラスをかけて登場するほど、目に気を遣っていた。
このイベントはマクラーレン・ホンダが復活した今年、タグ・ホイヤーがアイルトン・セナとのコラボレーションを祝って開催した特別なものだった。冒頭にはプロジェクションマッピングで映し出されたグラフィック映像のセナと対面するシーンが用意されていたが、先の理由からアロンソがサングラスを取ることはなかった。
アロンソにとって、セナは最も尊敬する憧れのドライバーで、少年時代に駆っていたカートのカラーリングは1980年代のマールボロ・カラーのマクラーレン・ホンダを模したデザインだった。尊敬するセナを讃えるイベントでもサングラスを外さなかったほど、アロンソの目の状態は深刻なのだろうか。
ちなみに初日フリー走行では合計50周を走り、特に不調を感じさせることはなかったが、ヘルメットを脱いだアロンソの目は、すぐにサングラスで覆い隠されている。