2017年以降もピレリがF1タイヤを単独供給することは、ほぼ確実のようだ。ピレリは2011年にブリヂストンに代わってF1に復帰、まず3年間タイヤの独占供給を行った。その後2014年から3年間、契約を延長。2016年が現契約の最終年となるため、今後の動向が注目されていた。

 2017年からのF1タイヤ供給には、今年の6月にピレリが継続の意向を表明したほか、近年では2001年から2006年までF1活動を行い、ブリヂストンとタイヤ戦争を繰り広げていたミシュランも申請を出していた。両社ともにFIAによる審査を受け、技術面および安全面でF1に単独供給を行うだけの条件を満たしたため、最終的な判断はF1の商業権を統括するバーニー・エクレストンによって行われることになっていた。

 そして、ピレリはロシアGP終了後に、2017年から2019年にかけてFOMと商業契約を結んだことを明らかにした。これはサーキットにピレリの看板を広告として出すための契約だが、事実上2017年から3年間のタイヤメーカーがピレリに決定したと考えていい。

 発表前から、パドックでは「ピレリ優勢」との声が高かった。ピレリはFOMとの商業契約だけでなく、それぞれのF1チームとも商業面に関して個々に契約を結んでいる。契約内容は明らかにされていないが、トップチームは有利な契約になっていると聞く。タイヤそのものの供給に関する技術的な契約は単独サプイヤーとして平等でなければならないが、使用料をいくらに設定するのか、マシンの広告スペースをどれくらいにするのか、あるいはピレリのイベントにどれくらい協力するかといった商業的な契約は個別対応となっている。この部分で商業的価値が高いトップチームは有利な契約を結んでいるようだ。

 そうなるとトップチームがこの有利な条件を手放してまでミシュランを受け入れるとは考えにくく、むしろエクレストンにピレリの契約継続を懇願していたとしても不思議はない。

 そういった内情を感じさせたのは、今年のベルギーGPでタイヤバーストの当事者となったメルセデスとフェラーリの対応だ。当初は“被害者”であるニコ・ロズベルグとセバスチャン・ベッテルは、タイヤを批判していた。特にベッテルの言葉は痛烈で、放送できない「Fワード」を使用したほどだった。

 ところが次戦イタリアGPを迎えるとタイヤへの批判はトーンダウン。明らかにチーム内から政治的な圧力があったためと考えられる。商業面に関して有利な契約を結んでおきながら、ピレリの批判を行うことは歓迎されないからだ。

 ロシアGPでは、エクレストンがイギリスのテレビ局に対して「ピレリは2度目の契約延長をするだろう」と語っていた。そして、それを聞いたトップチーム関係者の誰もが驚きを見せることはなかった。ピレリ続投は、かなり前から事実上、決定していたのだろう。

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