昨年の日本GPで、当時開発中のエンジン音を限定公開したホンダ。当時のエンジンは初期段階の、しかもエンジン単体を回して発生した音だった。あれから1年が経過しようとしているが、ホンダのパワーユニット開発状況はどうなっているのだろうか。

 やはり日本GPを目前にした10月1日、ホンダはF1パワーユニットの画像と開発状況を公式に発表した。シンガポールGPにて、ホンダのF1総責任者である新井康久(本田技術研究所取締役専務執行役員四輪レース担当)を直撃、「エンジンはつい最近フルパッケージにして回し始めた」ことが明らかになったとおり、パワーユニット開発は佳境を迎えている。

 これまで別々にテストしていたMGU-KやMGU-Hをパワーユニットとしてエンジンに取り付け、ターボも組んで、稼働しはじめたホンダのパワーユニット。今年の春に中国GPの舞台となった上海インターナショナル・サーキットで尋ねたとき、「秋には形にしたい」と語っていたので、開発の状況は「予定どおり」だと語る。しかし、フルパッケージにして回したといっても、このエンジンが最終形というわけではないようだ。

「いくつかの過給機や回生システムに使用するモーターを交換して、振動などの影響をチェックしています」(新井総責任者)

 どのメーカーのターボにするのか、あるいはメルセデスのようにターボとコンプレッサーを分離するのか、あるいはルノーやフェラーリのようにノーマルタイプでいくのか、まだ結論は出ていないのである。

「メルセデスが採用している分離型自体にはメリットはない。分離型のメリットしては熱の問題でしょうから、パッケージとして新車をどうするのかによって決めます」

 つまり、どちらにするのか悩んでいるわけではなく、マクラーレンの2015年の新車がどういうコンセプトになるのか最終判断を待っているものと思われる。

 最近になって、再びマクラーレンのエリック・ブーリエ(レーシングディレクター)が「アブダビGP後のテストでホンダを乗せて走らせてみたい」というコメントを発している。しかし、それは事実上は無理な話だ。ホンダのパワーユニットはマクラーレンの2015年の新車に合わせて最終形がまとまるのだから、2014年のマシンに搭載しても意味はない。

「いまはテスト解禁日となる2月1日でもギリギリのタイミング。ここまでは順調だが、ここからが本当の勝負」と新井氏は言う。

 F1日本GPでライバルたちが自分たちの庭である鈴鹿を走り回っているころ、ホンダは栃木県さくら市にできた新しい「HRD Sakura」で時間との戦いに挑むことになりそうだ。

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