金曜から荒れ模様のロシアGP、サポートレースにも波乱は及んだ。F1フリー走行3回目に発生した事故により、土曜の昼に予定されていたGP3のレース1は日曜に延期。F1予選後に行われたGP2レース1は、クラッシュと事故処理で大幅に短縮されることになってしまった。

 ポイントリーダーのストフェル・バンドーンにとっては、ここでランキング2位のアレクサンダー・ロッシより6ポイント多く獲得すればタイトルが確定する重要なレース。2番グリッドから臨んだが、スタート加速が鈍く、ポールポジションのアレックス・リンには逃げられ、3番手アーサー・ピック、以下ロッシ、ピエール・ガスリー、セルゲイ・シロトキンの先行を許してしまった。

 ターン2でピックが出口のソーセージ縁石に乗ってしまった隙を突いて、ロッシが2番手に浮上。バンドーンは、なんとかラファエル・マルチェロを抑えて5番手に留まった。

 このスタート直後のターン2で、数台のマシンが止まり切れずにランオフエリアへ飛び出した。そのうちロシア人のアルテム・マルケロフは地元でやる気が空回りしたのか、規定のコース復帰ラインをカットしながらオーバースピードでターン3へ合流しようとして、左前後タイヤをバリアにヒットさせてしまう。マルケロフのマシンはコースを横切るようにしてターン3アウト側のバリアに突っ込み、後続の2台も巻き添えとなってクラッシュした。

 さらに混乱の影響を受けた後続はターン3の先で数台のマシンのラインが交錯、ターン2で前走車に接触していたジョーダン・キングが曲がりきれずにハイスピードでバリアにクラッシュ。樹脂製テックプロ・バリアのダメージがひどく、修復のためレースは赤旗中断となった。

 バリアの修復には約30分を要し、日没時刻が迫ってきたため、30周のレースは15周に短縮。17時17分にセーフティカー先導で3周目から再開された。トップのリンがファステストラップを連発して後続を引き離しにかかるが、2番手ロッシも負けじとファステストで応酬する。

 ソフトタイヤでスタートしていた上位勢は、6周目のリンを皮切りにピットインを開始。7周目にはガスリーとシロトキンがピットインし、リンの後ろでコースに復帰。8周目にロッシがピットインしてリンの前に戻ったものの、リンはタイヤが温まりきっていないロッシをターン3のアウト側から豪快にオーバーテイクして前に出た。

 9周目には、まだピットインを済ませていないバンドーンがピックのコースオフによって首位に浮上。ここでピックはピットに向かい、引っ張ったことが裏目に出てシロトキンの後ろまで後退してしまった。

 しかしバンドーンは好ペースで走り続け、後続との差を広げる。実質的な首位を争っているのはリンとバンドーンだったが、11周目のターン13で、なんとリンがコースオフ。狭いランオフエリアを曲がりきれず、ターン14手前のバリアに接触して左フロントサスペンションを壊してしまい、あえなくリタイアとなってしまった。

 これを見て12周目にバンドーンがピットイン。ロッシとガスリーが繰り広げるバトルの後方に戻り、三つ巴の首位争いになるかと思われたが、ロッシは最後にスパートをかけて後続を一気に引き離し、優勝。今季3勝目を挙げるとともに、バンドーンのタイトル決定を阻止した。

 バンドーンは14周目のターン4で姿勢を乱してコースオフ。2位を奪うチャンスを失ったが、最終周にファステストラップを記録して意地を見せると同時にポイントを加算した。

 松下信治は、もちろん初めてのソチ・アウトドローム。ウエットの予選でうまくアタックできず、12番グリッドからのスタートとなった。スタート直後のターン2ではアウト側からランオフエリアに出て、前のマルケロフのクラッシュを避けるために16番手まで順位を落としてしまう。

 それでもレース再開後は順調に走行を続け、9周目にピットインを終えて14番手。そこからノーマン・ナト、ミッチ・エバンスを次々に抜き、リンのリタイアとナタナエル・ベルトンのピットインもあり、最後は10位でフィニッシュ。久しぶりのポイントを獲得した。今回はレース距離が短縮されたためハーフポイントとなり、10位の松下は0.5点となっている。

「今回はレース1でつまずくのは絶対に嫌だったので、スタートは慎重にいきました。マルケロフがものすごい勢いで僕の後ろから飛び出していくのが見えて、絶対に止まりきれないだろうと思っていたら、やはり当たりましたね。最後に2台をバックストレートで抜いたんですが、それほどクルマのペースは良かっただけに、雨の予選でコースインするタイミングが遅れて、満足にアタックできなかったのが痛かった。レース2ではスタートを決めて、さらに上を目指したい」と松下は言う。

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