8月23日、スパ・フランコルシャンで行なわれたGP2のレース1は、F1の予選同様にスパウェザーの影響を受けることになった。スターティンググリッド上では路面はウエットながら雨は降っていなかったものの、フォーメーションラップがスタートする頃に大粒の雨が降り出す。これによりスリックタイヤでスタートするギャンブルを選んでいた数台は1周目にピットストップを余儀なくされた。
ポールシッターのストフェル・バンドーンは首位を守り、後続ではジョリオン・パーマーの加速が鈍く8番手に後退したのを除けば、大きな混乱はなくレースのスタートが切られた。しかし雨脚が一気に強まったこともあって、後方ではコナー・デイリーがターン14でまっすぐ飛び出してクラッシュ。「アクアプレーニングが酷すぎる」とドライバーたちが無線で訴え、セーフティカーが導入された後に2周で赤旗中断という措置が執られた。
約20分間の中断の後にセーフティカー先導で走行が始まり、6周目にレース再開。首位バンドーンはリスタート直後の1コーナーで2位ジョニー・チェコットにインを刺されてポジションを失うが、チェコットがターン5でコースオフしてアドバンテージを得たため再びポジションは返還された。3位ラファエレ・マルチェロは2位チェコットに抑え込まれて思うように走れず、4位にはタイトルを争うフェリペ・ナスールが後続を交わしてポジションアップしてきた。しかし首位バンドーンはじわじわと後続との差を広げていく。
路面は相変わらずウエットだが、9周目あたりから徐々にピットストップを行なうマシンが出て来る。後続が続々とピットインしていく中で、レース後半に雨が降るとの予想もあり、上位勢はギリギリまでピットインを我慢して走り続ける。
11周目にチェコットをパスして2位に上がったマルチェロは16周目からファステストを連発して猛烈な追い上げを見せ、その一方でバンドールンをはじめとした他の上位勢は17周目にピットイン。19周目まで引っ張ったマルチェロがコースに戻ると、僅かにバンドーンの方が前に出た。
しかしここからマルチェロの猛烈な追い上げが始まり、両者はテール・トゥ・ノーズで激しいバトルを繰り広げる。そしてトラクション性能に優るマルチェロが残り2周となった23周目のターン8でインに飛び込んでパスし、首位奪還。そのままバンドーンを引き離して自身初となるGP2での勝利を飾った。3位にはチェコットが入り、タイトル争いをリードするパーマーは6位に入るのがやっとだった。
日本勢は後方グリッドから苦戦を強いられた。
スタート直後は21位にいた佐藤公哉は、赤旗中断の混乱の中で17位に浮上。しかしその後はクワイフェ・ホッブスやランカスター、デ・ヨンらに抑えられて本来のペースで走れず、浮上のきっかけを掴めないまま17位に終わった。
最後尾スタートの伊沢拓也は雨が来るのは遅いという天気予報に従ってスリックタイヤでスタートするギャンブルを選んだが、「雨の量が酷くて前は全く見えないし、フォーメーションラップにもセーフティカーにもついていくのが難しいくらい」という状況で1周目にピットイン。予選はスタベローでスピンしてノータイムに終わったが、「本来なら予選トップ10は行けたはずだし、このペースなら決勝も入賞はできるはず」と、マシンの仕上がりには手応えを持っていたが、レース再開後は安定した走りを続け、13周目に再びタイヤ交換をこなして佐藤公哉の後ろに付く。
だが14位から5台が連なる集団の中で膠着状態に陥り、最後に佐藤公哉を抜いて16位でフィニッシュするのが精一杯だった。
「ウエットコンディションではブレーキの効きが良くなくて、ストレートエンドで仕掛けるのが難しい状況でした。でもセクター2では速かったので、プーオンで狙って抜きました。ウエットでもペース自体はそんなに悪くなかったと思うんですが、ドライとは違って戦略で前に出るのは難しいし、これ以上はどうすることもできませんでしたね」
日曜のレース2ではドライコンディションが予想されており、中段グリッドから日本勢の巻き返しにも期待したい。