ハンガリーで開催しているGP2第7戦の決勝1で、予選最下位スタートの伊沢拓也が大波乱のレースを3位でフィニッシュした。

 レースは序盤、6周目に予選4番手スタートの佐藤公哉とステファン・リチェルミが絡んでクラッシュし、セーフティカーが導入され、予選後方スタートのソフトタイヤ勢が一斉にピットイン。ミディアムタイヤを履いていた上位陣はピットインすることができずに、一気に戦況は逆転していった。ソフトタイヤを履いていた伊沢もタイミング良くピットインを済ませ、セーフティカー開けには全体で21位ながら、ピットを終えたドライバーの中では9番手を走行。

 その後、接触やピットロード速度違反でドライブスルーペナルティなどで序々にサバイバルの状況となり、終盤、上位陣がピットインを済ませ、残り10周となって伊沢は9番手まで順位を上げる。

 そして30周目、伊沢はタイヤがタレ始めた前のクルマを数台をオーバーテイクして6番手まで上がり、さらに目の前でバトルをしていたセルジオ・カナマサスとナタナエル・ベルトンの隙を突いて1コーナーで2台のインを狙うも、無理と判断して引く。その直後、カナマサスとベルトンが交錯して1コーナーと2コーナーの中間でクラッシュ。マシンはかなりの勢いでガードレールに直撃し、すぐに2度目のセーフティカーが入った。

 伊沢は結果的に4番手に上がり、セーフティカー開けの最終ラップで3位の座を狙ったが、ソフトタイヤを履いた5番手のジョリオン・パーマーが伊沢に襲い掛かり、伊沢はパーマーをブロックする形で4位チェッカーを受けた。

「ポジションとしてはうれしいですけど、ドライバーとしては速く走れていないことの方が問題だと思っています。このハンガロリンクはまだまだまだ慣れない。最後にようやくポイントがつかめたくらいで、正直、まだ自分でいい走りができているとは思えない。でも、ドライバーって何かのきっかけで変わることがあるので、そういうきっかけになればいいですね。気持ち的には昨日の予選の終わりよりは、確実に気分はいいです(笑)」とクルマを降りた直後の伊沢は、GP2自己最高リザルトにもクールだったが、その表情は常に明るいままだった。

 そしてレース後、伊沢にとってさらなる幸運が訪れる。2位でチェッカーを受けたステファノ・コレッティがペナルティにより20秒加算となったのだ。伊沢は4位から3位に繰り上がり、GP2で初めて3位入賞となった。レース後の昇格のため、表彰台に上ることができなかったのは残念だが、これも最後尾から最後まで攻め続けたご褒美なのかもしれない。

 決勝1の優勝は予選3番グリッドから上位のほとんどがミディアムタイヤを履く中、ソフトタイヤでスタートして逆転したアルサー・ピック。最初のセーフティカーの際にピットインし、ミディアム勢が終盤にピットインした際にトップに立つと、危なげなくトップチェッカーを受けた。

 予選4番手の佐藤公哉はスタートの動き出しは良かったものホイールスピンでその後の加速が悪く、8番手に後退。そして6周目にステファン・リチェルミの追突を受ける形でコースアウト。リチェルミのクルマはタイヤバリアにクラッシュしてセーフティカーとなり、佐藤は右リヤタイヤにダメージを受けてピットでタイヤを交換してコースに復帰するものの、「クルマがまっすぐに走らない状態で危なかった」(佐藤)こともあり、リタイアを選択した。

 レース後の佐藤は「信号で止まっているときに後ろから追突されたようなもの。避けようがなかった」と怒りを抑えながら話す。レーシングアクシデントとして審議の対象にもならなかったことで、チームとして抗議も検討しているという。佐藤と伊沢、前日の予選とは正反対のリザルトになった決勝1の様子からも、このGP2というカテゴリーの難しさが垣間見れる。

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