スタート前に突然降り出した雨によって、ウエットスタートとなったGP2第6戦ドイツの決勝2。雨粒は大きいが、すぐに上がる見込みでスタートではウエットタイヤ、スリックタイヤ、両方が混在する形でシグナルがグリーンとなった。
水しぶきがまだまだ路面に残っている状態のスタートでは、やはりウエットタイヤの動き出しが抜群にいい。むしろスリックを選択したドライバーはタイヤを空転させて前に進まず、水しぶきと相まって混乱のスタートとなった。
上位陣では4番グリッドのフェリペ・ナスール、5番グリッドのステファノ・コレッティがスリックを選択するもスタートで大きく後退、8番グリッドのミッチー・エバンスが好スタートで2番手まで上がり、7番手のマルコ・ソレンセンが3番手に上がるなどウエット陣が大きく順位を上げる。13番グリッドの伊沢拓也も「スタートはものすごく良くて、(7番手スタートのストフェル)バンドーンの前に出る勢いでした」という好スタートで前のクルマの合間を縫ってと5台近くをオーバーテイク。だが、その1コーナーの進入でイン側にいたステファン・リチェルミとジョニー・チェコットの2台が接触してコントロールを失い、巻き込まれそうになった伊沢は間一髪、その2台をかわす形で大きくオースオフ。ここで一気に18位まで順位を下げることになってしまう。
1コーナーで接触したリチェルミがマシンのリヤ部から炎を出してストップし、セーフティカーがコースイン。すぐにセーフティカーは解除されるものの、リスタート直後から順位は目まぐるしく変動し、エバンスが一時トップに立つも、バンドーンが奪い返し、ソレンセン、ディールマンがトップ3となって周回を重ねる。
スタートから序々に路面は序々に乾いていき、どのドライバーもスリックタイヤの方がタイムがよくなるチェンジオーバーを見極める中、8周目に伊沢が先陣を切ってスリックに交換。だが、このタイミングはまだ速すぎた。「チームの指示でピットインしましたが、やはりあの時点でのスリックは厳しかった」と伊沢は振り返る。チームとしてはトップを走るチームメイトのバンドーンのタイヤ交換タイミングを計るため、後方に順位を下げた伊沢を先にスリックで走らせてその状況を見極めたかったのだろう。このピットストップによって、伊沢は実質最後尾近くまで順位を下げてしまった。
13周目になって上位陣が次々とピットインして、タイヤをスリックに交換するもも、コース上では接触やコースオフが続出してセーフティカーが導入される。しかし、セーフティカーはすぐに翌周にコースを出て、レースは再開。アンドレ・ネグラオがトップに立ち、続いてバンドーン、ソレンセンが続く。
15周を過ぎたあたりから、スリックでスタートしてノーピットで走行してたコレッティ、ナスールがタイムアップして順位を次第に上げていく。20周目にはついにこの2台がトップを奪い、順調に周回を重ね始めたところでレースの残り時間が表示される。雨とセーフティカーでレースの制限時間を迎えた決勝2は、結局、予定された27周まで届かない26周でフィニッシュ。コレッティが優勝を果たした。
伊沢は終盤にタイムを大幅にアップしながら走行し、ファイナルラップでは2台をオーバーテイクするも19位でレースを終えた。
「まだ僕だけでなく、チームとしても今年のタイヤで雨で走行したことがなく、クルマのセットアップが雨にほとんど合っておらず、グリップが他のクルマより明らかに少ない感じでした。このドイツの2戦、結果は良くなかったですが、ドライでのセットアップの方向性は確認できました。次のハンガリーはサーキット自体走ったことがないので、結果を出すのは簡単ではないと思いますが、小回りなサーキットなので曲がる方向の今のセットアップには合っていると思います。まずは課題の予選を良くしたいですね」と伊沢。期待が高かったドイツだっただけに、その表情にはこれまで以上に悔しさが溢れていた。