5月9日、GP2第2ラウンド、バルセロナのレース1が行われた。ストフェル・バンドーンが圧倒的な強さを見せつけ、ポール・トゥ・ウイン。しかしスタートからフィニッシュまで、ひとり旅で走り切ったわけではない。
ソフトタイヤでスタートを切った首位バンドーンやその後ろに続いたDAMS勢やカンポス勢など上位陣は、6周目から続々とタイヤ交換を行い、ハードタイヤでスタートしていた後続のトラフィックの真っ只中に飛び込むことになった。
これで首位に立ったのはハードタイヤでスタートしたミッチ・エバンス。さらにアレクサンダー・ロッシが続く。彼らはレースの最後にソフトタイヤを使うため、終盤までハードタイヤをマネージメントしながら周回を重ねていく。
一方、ピットストップ後のバンドーンは20番手からトラフィックをかきわけながらポジションを上げていく。これに続くのが、DAMSのピエール・ガスリーとアレックス・リン。残り10周となった26周目にロッシ、27周目にエバンスがピットインし、バンドーンがトップに返り咲いた。
しかし、DAMS勢の前後でコースに復帰したロッシとエバンスはフレッシュなソフトタイヤの速さを活かし、ラップによっては2秒も速いタイムで猛追。DAMS勢を抜き去り、首位バンドーンにも刻々と迫っていたが、残り数周の時点でバンドーンも再びペースを上げ、首位を守ったままトップでチェッカーを受けた。
バンドーンはトラフィックを処理し、後方からのプレッシャーに晒されながらも最後までタイヤのグリップを温存してレース全体をコントロールして見せたのだ。彼の速さと強さが凝縮されたようなレースだった。これで3戦2勝、2位1回。タイトル争いでも他を大きくリードした。
2位エバンス、3位ロッシまでが表彰台。ソフトタイヤでスタートして10周目まで引っ張ったリオ・ハリアントが最後にハードタイヤで猛追して4位に入った。ラファエル・マルチェッロが最後にソフトタイヤで6位まで追い上げ、タイヤがタレたガスリーは7位まで後退した。
予選でトラフィックとDRSのトラブルにより満足なアタックができなかった松下信治は、14番グリッドからのスタート。好発進を決めたが、スタート直後の混乱で順位を落としてしまう。
「スタートはうまくいって1コーナーまでに3〜4台抜いたんですけど、ターン3〜4で少しオーバーステアを出してしまって、その間に3〜4台に一気に抜かれて元に戻ってしまいました」
その後はタイヤをマネージメントするためにペースを抑えて走ったが、バーレーンのレース2で攻めすぎた反省から今度は抑えすぎてしまったと悔やむ。
「前回バーレーンのレース2でタイヤを使いすぎたというのもあったので、レースペースのマネージメントを心がけたんですけど、ちょっと遅すぎました」
2位に入ったエバンスと同じ戦略で、27周目にピットインしてソフトタイヤに交換。しかし第1スティントでペースを抑えすぎたため、ピットアウトしてみれば17番手に。猛プッシュでファステストラップまで0.02秒と自己ベスト連発の走りを見せたが、入賞まで一歩及ばず11位でレースを終えた。
「あと1〜2周あれば前の集団に追いついて抜けただろうし、8位くらいには行けたと思うんで、そこはもったいなかった。でもスタート位置があれではダメです。それがすべてです。タラレバを言ってもしょうがないけど、きちんとアタックがで来ていれば7〜8番手には行けたと思うし、そうなっていれば今日のレースも違った展開になっていたでしょう」
フリー走行からマシンのセンサートラブルで、ほとんどまともに周回できなかったが、カタルニア・サーキットは、すでにモノにしたと言う。結果以上に中身のある週末を、明日まとめあげたいと松下は語った。
「明日こそはスタートもきちんと決めて、タイヤマネージメントもきちんと決めて、いままで失敗してきたものをすべてまとめあげて、ひとつの集大成を仕上げたいと思っています」
