オーストリア、レッドブルリンクの予選で思うような結果が出せなかった伊沢拓也と、佐藤公哉。土曜日の決勝1は対称的な結果となった。
20番グリッドスタートの佐藤は2コーナーで、他車の接触に巻き込まれてオーバーラン。マシン右リヤのサスペンションを破損し、コースに戻ったところを先ほどの他車に再び接触されて足回りのコントロールが付かない状況に。オープニングラップで無念のリタイヤとなった。
「2コーナーで当てられてからまっすぐ走らない状態で、すぐにまた接触されて完全に足回りが壊れました。そういう状況になるのも、常に巻き込まれる可能性の高い位置にいるから。予選で順位が悪いからだし、その予選も練習走行の走り出しでセットアップが根本的に違っているのがすべて」
佐藤は期待を込めて、チームへもあえて独自の言葉で苦言を言う。
「テストで言えば、テスト期間までに勉強できていない状態。だからもっと勉強してここにこないと。週末が始まる前から、勝負が決まっている状態なんです」
レース2へは「最後尾スタートなので、また巻き込まれやすい位置ですけど、なんとか完走したい」と抱負を話す。
一方、これまでより若干の手応えを感じていた伊沢は、17番グリッドから抜群のスタートを決める。
「動き出しがよかった」と伊沢自身が話すように、前のクルマのインに行けないとみるや、すぐにアウトにマシンを振って、そのまま1コーナーへ。コーナーを抜けた時には11位と、スタートで6台を抜き去る。
4周目には前を走るリオ・ハリアントのインを3コーナーで突き、10位に。その直後、前に引っかかることを嫌って選んだ事前の作戦どおりに早めにピットイン。後半勝負に懸ける。
だが、ここで若干、しかし大きなアクシデントに遭う。「GP2では後半に使うタイヤをグリッドに付く前に一度温めて置くんです。そうすると、レースで履き替えたときに温まりが抜群によくなる。でも、今回の僕はグリッドに付くのが遅かったのでそれができなかったんです」
ピットイン後の伊沢はタイヤの温まりに苦しめられ、ペースを上げることができない。むしろ、後方のドライバーに背後まで迫られ、プレッシャーを受けながらの周回が続いた。それでも最後まで1秒以内に付けられた相手を抑えきり、開幕戦以来のポイントフィニッシュ。
「スペインではエンジンのトラブル、モナコではクラッシュしてこの2戦、レース1で結果が出せていなかったので素直にうれしいです」と伊沢は胸をなで下ろす。それでも、「まだ最後のふたつのコーナーがつかめていないし、下手な部分がある」と課題も忘れない。
明日のレース2は9番グリッドからのスタートになるが、今日のような好スタートを決めることができれば、表彰台も見えてきそうだ。