4月18日(土)午後1時10分、GP2開幕戦となるバーレーンの1レース目がスタートを迎えた。F1フリー走行3回目が行われるよりも早い時間帯、非常に暑いコンディションでの32周、約1時間の戦いだ。

 フロントロウはストフェル・バンドーンと松下信治のARTコンビが独占。その後ろにはGP3王者アレックス・リンや2年目のアーサー・ピック、フェラーリ門下生のラファエル・マルチェッロなど有力ドライバーが続く。スタートシグナルがブラックアウトした瞬間、不安は的中した。2番グリッドの松下はスタート加速が鈍く、次々と抜かれて一気に17番手まで順位を落としてしまった。初体験のパドルクラッチによるスタートの失敗は、ルーキーの誰もが通る道だ。

「スロットルの踏み込みが足りなくて、クラッチをつないだ瞬間に路面のグリップに負けて食い込んじゃって、回転が下がってアンチストールが作動してしまったんです。緊張していたつもりはなかったけど、あとでデータを見たらスロットルが踏めていなかった。なんとなく、スタートはダメでもしょうがないなと思ってたんですけど、あそこまでダメになるとは思わなかった(苦笑)」

 それでも焦ることなく「タイヤをセーブして、ぶつかったり壊したりすることのないよう注意して走った」という松下は、集団の中でも危なげない走りで徐々に順位を上げていった。首位はバンドーン、2番手にリン、3番手に新人ノーマン・ナト、マルチェッロ、ピックと続く。

 5周目にターン8でマルチェッロがナトのインを突いて接触、これに押し出される形で前のピックがスピンし、そこにピエール・ガスリーが突っ込んで多重クラッシュとなってしまった。事故処理のためセーフティカーが導入され、ソフトタイヤでスタートしていたリンらがピットイン、タイヤ交換義務を消化してフレッシュなタイヤで攻めていく。一方、ミディアムタイヤでスタートしたART勢やリオ・ハリアントは残り周回数をソフトで走りきることはできないため、ステイアウトを選ぶしかなかった。

 9周目にレースは再開し、すでにピットストップを済ませた中でのトップに、昨年までケータハムやマルシャでF1走行の経験も積んでいるアレクサンダー・ロッシが浮上してきた。これにリン、ミッチ・エバンスらが続く。しかし、リンはターン1で前走車にフロントウイングをぶつけてダメージを負い、ペースが鈍ってしまう。

 トップを行くバンドーンはレース再開とともにファステストラップ連発の走りで後続を引き離しにかかる。しかし、差はそれほど広がらない。

 20周目に松下がピットに飛び込んだのを皮切りに、ミディアムスタート勢が続々とピットインに動き始める。これで松下は17番手まで後退してしまい、首位バンドーンは22周目にピットイン、やや右リアの交換に手間取る場面もあって8番手で戻った。

 セーフティカーのタイミングでタイヤを交換した上位勢は気温30度、路面温度49度というコンディションのもと、すでにタイヤがタレ始めており、ここからART勢はフレッシュなタイヤの利点を活かして最後の猛プッシュを仕掛ける。バンドーンは周囲より2〜3秒も速いペースで走って次々とオーバーテイクを披露。ついに31周目、首位ロッシを捕えて大逆転で勝利をつかみとった。ハリアントも同様に2位まで浮上。ロッシは、なんとか3位に踏みとどまって表彰台を確保した。

 松下も冷静かつ果敢な走りで前走車たちを処理していき、最後は6位でフィニッシュ。

「まわりと較べてもクルマがすごく良く仕上がってるんで戦いやすかったですね。さすがに前半はみんなタイヤのグリップが高くて、そんな簡単には抜けなかったですけど、後半はタイヤの状況もかなり良かったんで、もし普通に走っていて前の方にいれば、前半うまくタイヤをキープして後半にプッシュするっていう、まさに今日ストフェルがやったレース運びがやれたと思います。スタートさえうまくいっていれば、何もしなくても良いレースができたはずです」

 しかし松下はピットアウト直後にタイヤを温めるために行ったウィービングが危険走行と判断され、5秒加算のペナルティを科されてしまった。混戦ゆえ、これで最終結果は10位に。

「(ウィービングをしたとき)後ろにドライバーがいたのは知ってたんですけど、かなりギャップがあったんでやったんです。自分の日本での感覚だと大丈夫だと思ったんですけど、それがダメだという判断だったので、次からは気をつけます」

 レース直後は「自分に対して怒りを覚えていた」と言う松下だが、このカテゴリーで戦える手ごたえもつかんだという。F3からのステップアップで、1時間に及ぶレースも初めてなら、レース中のタイヤ交換も初めて。それでも上位で戦えるという自信を、すでに手に入れた。

 日曜日のレース2は10番グリッドから厳しいレースが予想されるが、マクラーレンと提携してマシンの仕上げを行っているARTはタイヤに優しく、レースペースも優れている。

「スプリントレースなので、みんなタイヤをセーブして前半は抜けないと思いますけど、DRSもあるし、スタートさえきちんとできればなんとかなると思います」

 松下はサラリと言った。ルーキーらしからぬ言動だからこそ、何かを見せてくれそうな予感がしている。

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