いよいよ今週末に開催されるスーパーGT第4戦スポーツランドSUGO。このレース開催を前にした11日、シリーズをプロモートするGTアソシエイションはGT300クラスの参加条件を変更。JAF-GT規定車両のリストリクターの性能を引き下げた。JAF-GT車両と、FIA-GT3車両が混走するGT300で“参加条件”の均衡化は永遠の課題ではあるが、この現在の状況認識と今後の展開について、現在発売中のオートスポーツNo.1361では、GTAレース事業部の服部尚貴氏にインタビューを実施している。
2012年から、GT300クラスはヨーロッパ等世界中で活用されているFIA-GT3規定車両に性能を合わせる形で、日本オリジナルの改造範囲が広いJAF-GT規定車両が混走する形で展開されている。この両者の微妙なバランスはGTAが定める参加条件によって変わってくるが、昨年まではFIA-GT3勢が上位を争った一方、今季はJAF-GT勢が開幕から速さをみせている。
オートスポーツNo.1361の中で服部氏は、ここ2〜3年の流れについて、当初はJAF-GTに合わせてFIA-GT3のリストリクターを縮小したものの、GT3を製作するメーカー側からは想像を超えるリストリクター径になるためクルマを出せない……とする問題が浮上。では逆に、JAF-GTの性能をGT3に合わせる方向にしようとしたのが昨年までの流れだと語る。
しかし、昨年はGT3勢がやはり優位。では「JAF-GTが本当にGT3のレベルに来られないのか。それを実証するためにも今シーズン開幕前にJAF-GT勢のリストリクターを拡大しました」というのが今年の流れ。結果、第2戦でPanasonic apr PRIUS GTが、第3戦でARTA CR-Z GTが優勝。SUBARU BRZ R&D SPORTも開幕2戦でポールポジションを獲得。JAF-GT勢が速く走れることは実証されたと言っていい。
とは言え、JAF-GT勢の開幕3戦のパフォーマンスは圧倒的と言っていいほど。この状況について服部氏は、「参戦2年目を迎えたハイブリッド車両の技術の進化もあり、今はそれを含めて大きな差になっている面もあります。均衡がとれているかといえば、現状JAF-GTが速くなっているのは事実ですし、GTAにもその認識はあります」と語る。その結果が、11日に発表された参加条件の変更という訳だ。
ただ、第2戦富士でCR-Zやプリウスがあれほどの速さをみせたことに対し、なぜ第4戦の前に参加条件の変更があったのか。この疑問に対し、服部氏はこう答えた。
「2回ピットの富士では、ピットストップだけでGT3勢は20秒近くJAF-GT勢に先に行かれてしまっていた。セパンの前に性能調整を行わなかった理由は、開幕戦は天候などもあり確実なデータが採れなかったので、富士だけのデータで判断するのではなく、もう一度1ピットのレースを検証するべきだと判断しました。長いレース距離の富士と、短いセパンでデータがそろってリストリクターの性能調整に踏み切ることができたし、その他の調整も検討に入ることができます」
また、シーズンでのこのタイミングでの調整についても「昨シーズン、GT500でチャンピオンを獲ったモーラのポイントの獲り方を見ると、この時期からポイントを重ねていった。それに3戦を終えてランキングトップは、GT3のゲイナー11号車SLSです。開幕3レースでGT3にチャンスがなくなったと思っていません」と服部氏。
服部氏はこのインタビューの中で、ハイブリッド車両を含めたJAF-GTとFIA-GT3車両の今後、そして給油時間を念頭に置いた調整の必要性にも言及している。豊富な車種バラエティと強力なプライベーターチームが競演するGT300の魅力を損なうことなく、公平なレースを繰り広げる。世界で最も調整が難しい、GT300の永遠のテーマだ。
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