9日に富士スピードウェイで行われたスーパーGT公式テスト1日目で、ホンダHSV-010 GTの2台に装着された“フェンダーミラー”。昨今のレーシングカーはもちろん、市販車でもあの位置にサイドミラーが付いている車両は少ないが、これにはどういった狙いがあるのだろうか?
午前10時から、薄曇りの中スタートしたスーパーGT富士公式テスト。第5戦鈴鹿、そしてさらに第6戦富士を見据えたテストと言える今回の公式テストだが、午前の走行開始直後は、5月の第2戦とほぼ同様の“ロードラッグ仕様”で各メーカーのGT500マシンは走行を開始していた。
しかし、走行開始から30分を過ぎようかというところで、RAYBRIG HSV-010のフロントフェンダーがカーボン地に。これまでの富士仕様とは異なる形状のフロントフェンダーに目が行ったが、フェンダー上部の形状がさらに異なっている。これまでドアにあったサイドミラーが、フロントフェンダー最上部から伸びたフィンに設置されていた。
昨今のレーシングカーはもちろん、市販車でも現在フロントフェンダーにサイドミラーがついている車両は、商用車などをのぞきほとんど見られない。それだけに“古くて新しい”フェンダーミラーにはどういった効果が求められているのだろうか。
ホンダの松本雅彦GTプロジェクトリーダーにこのフェンダーミラーについて聞いてみると、「まだお試し中ですが」としながらも、「富士に向けたロードラッグ仕様の“タマ”を少しずつ入れていて、そのひとつです」と明かしてくれた。
聞けば、このフェンダーミラーを含むフロントフェンダー全体の形状を見直すことで、トータルでドラッグを減らす狙いがあるようで、サイドフィンを高く設置してもドアにあるミラーでドラッグが取り切れておらず、ミラーを前に持ってくることでドラッグを減らす効果があるという。ただ、このフェンダーミラーによりダウンフォースも減らしてしまうようで、そのあたりは両立のポイントが難しくなりそうだ。
とは言え、長いストレートをもつ富士での決勝レース中には、テクニカルなセクター3で差を詰めてもストレートで挽回されてしまうパターンも多く、松本リーダーも「富士でのレース中はストレートスピードを稼ぎたい」とロードラッグの重要度を語る。次戦鈴鹿には投入の可能性は少ないようだが、第6戦富士での実戦投入の可能性は高そうだ。
「あれを使えるようにするには、明日もう少し走ってみないと」というフェンダーミラーだが、明日10日はARTA HSV-010、EPSON HSV-010などにも装着して走行を試みるという。ドライバーからはミラーが前にあることで「慣れかもしれませんが、他車の位置がつかみづらい」等の指摘もあるようだが、実戦でその姿を見てみたいパーツのひとつと言えるだろう。