IRLインディカー・シリーズ第16戦ブリヂストン インディジャパン300マイルは予選が行われ、スコット・ディクソン(ターゲット・チップ・ガナッシ)がポールポジションを獲得した。武藤英紀(AGR)は予選中にクラッシュを喫している。
天候の悪化を懸念して、当初の予定から30分繰り上がり、午後3時から予選がスタートした。予選が始まってまもなく暫定1番手となったのは、チャンピオン争い演じる3人の中でもっともタイムアタック順が早かったダリオ・フランキッティ(ターゲット・チップ・ガナッシ)だった。ここまでのアタッカーが、気温の変化でダウンフォースが増えたせいか、おしなべてプラクティス時より低調なタイムになっていたなか、5番目のアタッカーのフランキッティは、タイム計測1周目から平均時速200マイルオーバーとなる27秒2901をマーク。アタック2周目には平均時速201マイルにタイムアップしてそこから4周目まで201マイル台をキープする安定した走りでチェッカー。
対するポイントリーダーのライアン・ブリスコー(チーム・ペンスキー)は、8番目のアタッカーとしてコースイン。ところが計測1周目が27秒4132にとどまり、200マイルに届かない。そこから2周目は27秒2237までタイムアップして201マイル台にあげ、3周目、4周目も少しずつタイムを削りはしたもののフランキッティには届かず、タイムアタック終了時点ではフランキッティに続く2番手となった。
ブリスコーに続く9番目のアタッカーとして登場した武藤英紀は、計測1周目を27秒5365、平均時速198.718マイルと言う積極的な入りで、すでにタイムアタックを終えているチームメイトのマルコ・アンドレッティ、トニー・カナーンのふたりを上回る1周目のタイムをマーク。この時点で暫定5番手だ。
ところがタイムアタック2周目のターン3の入り口で武藤はテールがルーズになってスピン、左のリヤからフェンスにヒットしてしまった。マシンは中破。本人はレントゲンによる検査を受けたが、骨折等はないのが幸いであった。
武藤のクラッシュの後、もてぎのオーバルに衝撃が走ったのがマリオ・モラエス(KVレーシングテクノロジー)のタイムアタック1周目だ。もてぎ初走行ながら、いきなり平均時速200マイルオーバーとなる27秒2456をたたき出し、フランキッティを上回ってきのだ。モラエスは1周目のこの勢いそのままに2周目は201.561マイル、3周目には201.757マイルとタイムアップを果たす。そしてモニターを見るフランキッティのの表情が曇る中、ファイナルラップのコントロールラインをくぐり、27秒1077、平均時速201.861マイルでダリオを破って一躍暫定トップを奪い返した。
タイムアタック半分を終えた時点で、ポールポジション争いがモラエスの暫定1位という意外な展開となるなかで、実力者たちも着実にグリッドを固めていた。モラエスの直前のアタッカーだったダニカ・パトリック(AGR)は計測1ラップ目に平均時速200マイルに迫る27秒3617をマーク。その後2ラップ目から最終4ラップまで200マイルオーバーの安定した走行でアタック終了時点で4番手。もてぎの連覇経験があるダン・ウェルドン(パンサー)は1周目の順位は198.621マイルで10番手。2ラップ目に199.755マイルで8位に浮上。3ラップ目に200マイルオーバーで7番手まで浮上したが、最終ラップでタイムが伸びず、タイムアタック終了時点で7番手であった。
トップ3を脅かす存在として20番目にタイムアタックに入ったエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)は、タイムアタック開始1周目から200マイルオーバーの27秒3243をマーク。モラエスの1周目に匹敵するタイムである。だが、続く2周目は201マイル台に届かず、ややタイムの伸びが鈍いかなと思わせた矢先の3ラップ目、第4ターンでプッシュが出てしまいアウトにはらんでフェンスにクラッシュ。残り3人というところで2度目のセッション中断となった。
アタックの最終を務めるのはチャンピオン争いのもうひとりの当事者、スコット・ディクソン。コース清掃の時間でディレイしたことが、走りにどんな影響を及ぼすのか、注目の中ディクソンはコースインした。
ウォームアップラップで平均速度199マイルとなる27秒4103。タイムアタック1周目には27秒0878でいきなりディクソンは平均時速202マイルをたたき出した。2ラップ目も202マイルオーバーし、3周目も1周目とまったく同じタイムで202.010マイル。そしてラストラップも202.036マイルと4ラップすべてを平均速度202マイル台にまとめる完璧な走りで逆転のポールポジションを獲得した。
現在ポイントランキングでトップのブリスコーから33ポイント離された3位となっているディクソンは、このインディジャパンに臨むにあたって、ポールポジションのボーナスポイント1ポイント、最多リードラップでのボーナスポイント2ポイント、そして優勝の50ポイントのすべてを獲得して最終戦で勝負したい、と語っていたが、その言葉どおり、まずは1ポイントと、ポールポジション賞1万ドルを獲得することに成功した。
明日のグリッドは、1列目がPPのディクソンとモラエス。2列目がフランキッティとブリスコー。3列目以下はトップのアタッカーながら好走を見せたグラハム・レイホール(NHR)、ダニカ、レイホールのチームメイトのオリオール・セルビア(NHR)、ウェルドン、トーマス・シェクター(ドレイヤー&レインボールド)と続く。
日本人勢では、武藤のクラッシュの直後のアタッカーとしてコースインしたロジャー安川(ドレイヤー&レインボールド)がその時点の暫定9番手につけた。やはり、エリオ・カストロネベスのクラッシュのあとにタイムアタックに入った松浦は2周目には198.168マイルの今日の自己ベストをマーク。3周目もわずかにタイムアップを果たし4周目に若干タイムを下げたもののロジャー安川を上回るポジションを得た。
予選終了後、カナーンのマシンに車両規定違反が発見され予選タイムは無効となり、明日の決勝グリッドは最後尾にまわされることになった。このため、松浦はグリッド8列目の16番手、ロジャー安川はグリッド9列目の17番手となっている。クラッシュした武藤は11列目22番グリッドからのスタートとなる。