レッドブル・レーシングのチームプリンシパル、クリスチャン・ホーナーは、チームが現在違法のトラクションコントロールを使用しているのではないかとのうわさを否定した。
シンガポールGPでのセバスチャン・ベッテルは予選でも決勝でも驚異的な速さを発揮、決勝ではセーフティカーが出動したにもかかわらず、2位フェルナンド・アロンソに32.6秒差をつけて完勝した。
あまりの速さにベッテルは違法なマシンに乗っていたのではないかとの推測まで出てきた。元チームボスのジャンカルロ・ミナルディは、シンガポールでのベッテルのマシンの音が、チームメイトのマーク・ウエーバーを含め、他のすべてのマシンと異なっていたと、ミナルディのウェブサイトでのコラムに記した。
「あの音は過去のトラクションコントロールシステムが作動している時のエンジン音に似ていた」とミナルディが記していると、ロイターは報じている。トラクションコントロールは今のF1では禁止されている。
こういった推測を、韓国GPを前にしてホーナーは全面的に否定した。
「FIAから支給されFIAに綿密にチェックされるECUに管理されているマシンにトラクションコントロールを導入するなんて、相当愚かな行為だ」
「どのチームであっても、そんなことをするなんて私には全く想像できない」
シンガポールでのベッテルの驚異的な速さがこういった憶測を呼んだのだと、ホーナーは述べている。
「シンガポールでのセバスチャンのパフォーマンスがあまりにも圧倒的だったことが問題だった。なぜああいうことが可能だったのか、疑問が生じるのは当然のことだ」
「他のチームは密かに理由を探し、最も安易な結論が、『レッドブルはインチキをしていたに違いない』というものだ」
「だがこういうことは非常に厳しく管理されており、不可能だ。彼はシンガポールで信じられないほど素晴らしいレースをしたというのが事実だ」
「(トラクションコントロールのうわさによって)チームの集中力が乱されるか? そんなことはない。心配で眠れないか? そんなことは絶対にないよ」
ベッテルもレッドブルが違法行為を行っているのではないかとのうわさを否定し、エンジンマッピングが非常に優れていたのだと述べた。
タイトル争いのライバル、フェルナンド・アロンソは、レッドブルのエンジン音が他と異なるのはシンガポールが初めてではなく、違法なことをしているとは思わないと語っている。
「レッドブルのエンジン音は今年最初の段階から違っている」とアロンソ。
「シンガポールはストリートサーキットで、コーナーで見ることができるから、より顕著に感じられたということだろう」
「冬季テストのバルセロナで、コーナーでのレッドブルは他と違う音を出していた。彼らは他のチームとは異なる何かを使っているが、それは完全に(合法で)問題ないものだ」
「グランプリの土曜と日曜のすべての検査にパスしているのだから、彼らは全く問題ない。僕らの方が、もっといい仕事をしてポテンシャルを最大限に発揮しなければならないのだ」