BMW Sports Trophy
Team Studie
#7 SUPER GT 最終戦レースレポート
MOTEGI GT in 250km RACE
どんな状況でもポイントを獲得する気迫が実を結んだ最終戦
場所:ツインリンクもてぎ(栃木県/全長4.801km)
予選 Q1:14位 Q2:-
2015年11月31日(土)予選(天候:雨 コースコンディション:ウェット)
決勝 9位
2015年11月1日(日)決勝(天候:曇り/晴れ | コース:ウエット/ドライ)
14番グリッドから9位に上がり本来の勝負強さを見せた
2010年以来、BMWのGT3マシンとして最前線で闘ってきたZ4 GT3(E89型ベース)。BMW Sports Trophy Team StudieがZ4 GT3を走らせるのは、これが最後となる第8戦。有終の美を飾りたいところ。天候は、まるで別れを惜しむかのような雨。予報されていた通り、朝から降り出していた雨が路面をタップリと濡らしていた。タイヤはウェットの一択。3種類が用意されていた、硬さの異なるタイヤを硬い方から柔らかい方へと公式練習で試す。
もっとも柔らかいタイヤでもリアのトラクションが十分ではなかった。全開で踏んでいけないためタイムが伸びない。スプリングやスタビ、リアウイングの角度を見直して走行を重ねる。ベストラップはヨルグ・ミューラーの1分58秒037。公式練習では13番手のタイム。シンプルに考えれば予選Q1を突破できるボーダーラインだ。この時点でチームは苦戦を覚悟する。しかし、苦戦を覚悟した以上に受け入れ難かったのは、トップのNo.31 トヨタPRIUSapr GTとはラップタイムに2秒もの差があること。
雨のまま午後の予選を迎える。Q1はヨルグ・ミューラー選手が担当。果敢に攻めて、1分59秒239の好タイムをマークするものの、13位のNo.33 Excellence Porscheと0.034秒差で14位。上位13台が進む予選Q2へ進出はならなかった。
公式練習の結果を照らし合わせれば、BMW Z4 GT3は全体の13番手あたりにポジション取りしている。仮にQ2へ進出して13番手となったとしても、14番手と同じ7列目からのスタートとなる目算だった。Q2進出か、Q1敗退かはほぼ誤差の範囲だ。
2015年最終ラウンド、決勝の朝。雨の中でフリー走行が始まった。チームは戦略の組み立てに手こずっていた。前日の公式練習、予選、そしてフリー走行ともにウェットコンディションだが、午後の決勝は曇り、もしくは、晴れの予報が出ている。さらに天気予報によってはスタート前後に通り雨があると予想していた。決勝はぶっつけ本番でドライコンディションを迎えるのか、それとも路面に雨を残したウェットコンディションとなるのか、どの時点でウェットからドライへ変化するのか。そのどれに照準を当てて、セッティングを煮詰めるのか判断の難しい。その状況下でチームが下した決断は、ドライセッティングでウェットタイヤを履くというもの。決勝スタートはウェット、徐々に乾いて、後半はドライという筋書きだった。キャンバーの角度も含め、実戦にフィットしたセッティングとする。
フリー走行の結果、ポールポジションのプリウスとは約2秒の差があることがわかった。ウェットタイヤに関して言えば、ブリヂストンとは埋められない差がある。そこで決勝スタート間際のウォームアップ走行で、チームは2つのテーマを検証する。ひとつはスリックタイヤでスタートするというもの。もしもコースに日差しが落ちれば、40台以上のGTマシンが全開で走るレコードラインはあっという間に乾く。スタートはセミウェットでも、全周回数の3分の1に到達する前に(ドライバーの一人は少なくとも3分の1を走行しなければならない)ドライコンディションになれば、スリックタイヤ装着車はアドバンテージを築くことになる。もうひとつはタイヤ無交換。そのドライタイヤで築いたアドバンテージを抱え、一気にチェッカーフラッグを目指すというもの。その2つを検証するため、ウェットタイヤとスリックタイヤの両方をウォームアップ走行に充てていた。この時、まだ路面は水しぶきが上がるほど濡れており、ドライタイヤでは1周あたり10~15秒遅いことがわかった。路面が乾くまでにロスしてしまうタイムが想定していた以上に大きい。スリックタイヤ投入は現実的ではないのか…。
判断に揺れるチームを決断に追い込んだのはスタート直前の通り雨。決勝目前のスターティンググリッドにウェットタイヤとスリックタイヤを持ち込んでいたが、ここで傘がいるほどの雨が再びコースを濡らす。スリックタイヤを履く選択肢はここで消えた。スターティングドライバーはヨルグ・ミューラー選手。(選択肢の中で最も柔らかい)ウェットタイヤを履いて決勝がスタートした。その直後、早くも路面に日が差し始めものの、ホームストレートを行くマシンの群れが盛大な水煙を上げる。さすがにスリックタイヤでは厳しいコンディション。
14番グリッドからスタートしたヨルグ・ミューラー選手は12番手でコントロールラインを通過。まだタイヤが温まっていない状況。不安定なコンディションの中でも、とびきりの勝負強さを見せる。4周目には11番手、7周目には早くも10番手に駆け上がる。チームの期待そのままに、濡れた路面をかき分けて、前へ前へと急ぐ。
しかし、路面が乾くのが想定した以上に早かった。ヨルグ・ミューラー選手の激しいプッシュに、柔らかめのウェットタイヤが悲鳴を上げる。2分1秒台の好ラップを刻むものの、攻めきれない時間帯が続く。そのため抜きつ抜かれつ、一進一退の展開となる。18周目、11番手を走行中。路面が完全に乾いてスリックタイヤに交換するタイミングを見計らっていたチームは、ヨルグ・ミューラー選手にピットインのサインを出す。
ピットロードには荒 聖治選手が姿を現した。20周目、No.7 Studie BMW Z4がピットイン。ドライバーチェンジ、給油、そしてタイヤ交換を行う。真新しいスリックタイヤを履いた荒 聖治選手がコースへ出て、タイヤを温めながらアウトラップをやり過ごすと、そのポジションは14番手。そして、23周目には1分56秒台をマーク。ここからハイペースで遠慮なくポジションアップへ挑む。
そう手応えを掴んだ矢先だった。25周目、GT500とGT300のマシンが接触。このレーシングアクシデントにより破損したパーツが路面に広がる。これを撤収するためセーフティカーが投入される。グリッド上へクラスごとに整列するのに手間取り、レースがリスタートしたのは30周目。ポジションアップを狙って、まだかまだかと待っていた荒 聖治選手は一気にラストスパートをかける。なんと1分51~52秒台でコンスタントにラップし始めた。これはトップグループと変わらぬハイペース。34周目にはポジションをひとつアップして10番手に。さらに、チェカーフラッグ間際となった48周目、No.61 スバルBRZ R&D SPORTをパスして9番手にアップする。徐々に本来の勝負強さが順位に現れ始めたが、ツインリンクもてぎにおける最終戦のディスタンスはわずか250km。GT300クラスにおける約50周のレースがチェッカーフラッグによって幕を閉じた。
最終戦のリザルトは9位完走。公式練習の段階から芳しくない展開しか見えなかったにもかかわらず、チーム、ドライバー、マシンが一つになり、手堅く5ポイントを獲得した。こういったレース展開においても1ポイントでも多く奪取する闘い方が、必ずや次のシーズンでチームを高みへと押し上げることになるはず。
2015年、応援ありがとうございました。2016年、いよいよBMW Sports Trophy Team Studieは序章から本編へとストーリー展開を大きく跳躍させることになる。ニューマシンBMW M6 GT3の上陸、より強固になったチーム戦略、そして、シリーズチャンピオン獲得へ向けて、激動の一歩を歩み出す。ご期待ください。
[関連サイト]
◯チーム公式サイト http://www.teamstudie.jp/2015/
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◯BMW M HEAT http://bmw-m-heat.jp
