●メルセデスが本来のポテンシャルの片鱗を見せた!?
 1950年5月13日、イギリスはシルバーストン・サーキットで行われた最初のF1グランプリ。それからちょうど900戦目という節目のレースになったのが、今回のバーレーンGPです。その記念すべきレースで圧倒的な強さを見せたのは、前2戦に引き続き、メルセデスの2台でした。

 圧巻だったのはセーフティカーランが解除された47周目からフィニッシュまでの11周。ルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグは、3番手以下より1周あたり2~3秒速いペースで二人きりのバトルを展開したシーンです。その僅か11周で築いた差は25秒。しかも、激しいバトルをしながらです。このパフォーマンスから判断するに、メルセデスの2台はまだまだポテンシャルを隠しているのではないでしょうか?

 もうひとつ、その兆候が見えるデータがあります。それは、タイヤのデグラデーション(タイヤの性能劣化に伴うタイムの落ち幅)です。決勝トップ10のマシンはいずれも、第1および第2スティントで1周あたり0.1秒~0.25秒程度のデグラデーションを起こしていましたが、メルセデスの2台はこの値が異常に低く、1周あたり0.02~0.09秒。タイヤを労わって走ったためにこの値になっていると想像でき、もし全開で走っていたら他車をどれだけ引き離したのか……。メルセデスと他車の性能差はもしかしたら3%以上、つまり決勝レースで全車を周回後れにするほどの差があるのかもしれません。

●チームメイト同士“ガチンコ”バトル
 しかし、ハミルトンとロズベルグのチームメイトバトルは、実に見応えがありました。F1ドライバーにとってチームメイトとは、負けることが絶対に許されないもっとも身近なライバル。基本的には同じ道具を与えられているわけですから。そのため、意地と意地がぶつかった激しいバトルが、フィニッシュまで続けられたのです。

 今回のレースは、そんなチームメイト同士のバトルが多く見られました。終盤のフォース・インディア勢同士の争い、偉大なチームメイトに打ち勝ったレッドブルのダニエル・リカルド、前戦のお返しとばかりに「僕の方が速い」と無線で暗にチームオーダーを要求したウイリアムズのフェリペ・マッサ。そのどれもが、見応えある戦いであり、F1の面白さを再認識させてくれました。

●ウイリアムズの後退と、フォースインディアの躍進
 今回のレースで気になったのは、ウイリアムズが7位と8位に終わったことです。マッサの「レッドブルの後ろではなく、フォース・インディアを攻める位置にいなければならなかった」というコメントにもあるように、ウイリアムズのマシンは、バーレーンで2番目に高いポテンシャルを持っていたにも関わらずです。

 原因のひとつとして想像できるのが、デグラデーションの大きさです。最初のスティントでマッサが3番手、バルテリ・ボッタスが5番手を走行していましたが、1周につき0.1~0.2秒ずつペースが下落。ボッタス僅か10周でピットインしてしまい、3回ストップ戦略を採らざるを得なくなってしまいました。

 前戦後にも述べたとおり、ウイリアムズのマシンはドラッグが低く、ダウンフォースもそれほど大きくないマシンだと思われます。そのため、コース各所で横滑りやホイールスピンを起こしてタイヤを傷めてしまったのでしょう。とはいえ、このデグラデーション値は他のマシンに比べて極端に酷いものではなく、もしマッサだけでもあと数周我慢して2ストップ戦略を実行していれば、異なる結果が出ていた可能性もあるように見えます。

 一方、フォース・インディアは開幕戦から一貫して好成績を残し、ついに表彰台の一角を手にしました。セルジオ・ペレスにとっては2012年のイタリアGP以来、チームにとっては2009年のベルギーGP以来と、どちらも久々の登壇。レース中の最高速もふたり揃って上位にランクされており、これが大きなアドバンテージになったはずです。

 実は今回のレースでは、あくまで計算上は多くのチームが前戦よりもメルセデスとのパフォーマンス差を縮めてきました。しかし、レッドブルとフェラーリだけは、その差を開かれてしまう結果になっています。もちろん、コース特性に合わなかったということもできるでしょうが……今後の挽回に期待したいところです。

●低くなった今季のノーズ。しかし危ない?
 最後に、ひとつ気になったシーンについて言及しておきます。それは、ザウバーのエステバン・グティエレスとロータスのパストール・マルドナドのクラッシュシーンです。

 本線走行中のグティエレスは、ピットレーンから出てくるマルドナドに気づくことなく通常通りに1コーナーにターンイン。すると、そこに差し掛かっていたマルドナドが接触し、グティエレスのザウバーが横転してしまいました。

 今年からレギュレーションにより、F1マシンのノーズ先端の高さを低く設定しなければならなくなっています。これは、事故時にドライバーの安全を確保することを目指したものです。しかし今回のアクシデントは、その低いノーズがあたかもカブトムシが外敵を放り投げるように、ザウバーのマシンを掬い上げる格好になってしまいました。ドライバーの注意不足により引き起こされた事故(マルドナドにはレース中のストップ&ゴーペナルティと次戦5グリッド降格の処分が科されています)でしたが、安全対策の見直しも検討されることでしょう。

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