ダリオ・フランキッティが今季3勝目
武藤英紀は12位
2009年7月12日(日)
決勝
会場:ストリート・オブ・トロント(全長1.755マイル)
天候:快晴
気温:21〜23℃
2007年までチャンプカー・ワールドシリーズの一戦として、カナダ最大の都市トロントのレースは大きな人気を博してきた。08年のシーズン開幕直前にインディカー・シリーズとチャンプカー・シリーズの統一がなされたために、昨年はトロントでのレースは行われなかったが、今季から再び開催される運びとなった。3日間のイベントは、ダウンタウンのすぐ南側に設定されたストリートコースで、今年も多くの観客を集める盛大なものとなった。
真っ青な空の下、23人のドライバーたちは午後1時にスタート。5人のドライバーたちが次々とトップに立つエキサイティングな展開となったレースは、ポールポジションからスタートしながら、いったん、大きく後退したダリオ・フランキッティ(Target Chip Ganassi Racing)の優勝で幕を閉じた。
レース序盤をリードしたフランキッティは、1回目のピットストップで作業ミスがあったために10位以降まで後退。しかし、レースが終盤になってから、彼がピット作業を受けている間にフルコースコーションが出される幸運に恵まれ、ピットアウトするとフランキッティはエリオ・カストロネベス(Team Penske)の後ろの2位まで順位をばん回した。
リスタートのあとにカストロネベスがドライビングミスをして、フランキッティはレースリーダーの座へと復活、そのまま今季3勝目を飾った。フランキッティはチームメートのスコット・ディクソンを抜き、2点という僅差ながらポイントリーダーへと返り咲いている。
カナダ、そしてトロントのレースで大歓声を浴びたのは、2人のカナダ人ドライバーだった。フランキッティが早めのピットストップを行ったあとにトップに立ったのがアレックス・タグリアーニ(Conquest Racing)で、予選15位だったポール・トレイシー(KV Racing Technology)が、タグリアーニを追って2位にまで大きく順位を上げた。
トレイシーはフランキッティと優勝争いを繰り広げることになるとの期待が寄せられたが、2位のポジションをカストロネベスと争っている間に接触して両車リタイア。タグリアーニは最後のピットストップで後退し、9位でゴールした。
トレイシーとカストロネベスがコースから去った後も、フランキッティの後方では激しい順位争いが最後まで続いた。2位は、予選で11位と苦戦したライアン・ブリスコー(Team Penske)のものとなり、スタート直後にタイヤトラブルで最後尾まで落ちたウィル・パワー(Team Penske)が見事なばん回を実現して3位でゴールしたが、4位のディクソン、5位のジャスティン・ウィルソン(Dale Coyne Racing)、6位のダニカ・パトリック(Andretti Green Racing)までが最終ラップまで白熱したバトルを繰り広げた。
予選22位で最後列グリッドからのスタートだった武藤英紀(Andretti Green Racing)は、1回目のフルコースコーションでピットインしない作戦が功を奏し11位まで順位を上げたが、グリップが決定的に不足しているマシンであったため、アクシデントを起こさずに走り続けるのがやっとという状態。それでも武藤はミスなく走り続け、12位でゴールした。
コメント
ダリオ・フランキッティ(優勝)
「オプショナルタイヤでスタートしたが、タイヤが消耗して苦しい走りになっていた。その上、ピットで時間がかかって順位を落とした。しかし、作戦がよかったことでポジションを大きくばん回できた。また、今日の我々のマシンはリスタートが非常によかったので、それも勝利につながったと思う」
ライアン・ブリスコー(2位)
「優勝できず、2位ばかりなのは悔しいけれど、今週の場合は予選でとても苦労していたので、2位という結果には満足すべきだと思う。今日のフランキッティは運も味方していた。決勝に向けてマシンをよくすることができ、作戦もよかった。ポイントランキングのことを考えても2位はいい結果だ」
ウィル・パワー(3位)
「スタート直後にリアタイヤにダメージを負ってしまったが、幸いにもギリギリで周回遅れにはならずに済んだ。そこからは思いきり走り続け、大いに今日のレースを楽しむことができた。スタートで起きたことを考えれば、3位は喜んでいい結果だと思う」
武藤英紀(12位)
「昨日までとは大きく違うセッティングを朝のウオームアップで試し、昨日よりはハンドリングがよくなっていることを確認できました。マシンが跳ねていた部分での挙動も安定し、縁石に乗ることもできるようになっていました。しかし、そこからさらにセッティングを進めたところ、決勝でのマシンはとんでもなくグリップしないマシンになっていました。毎ラップ、同じラインを走れないぐらいの状態で、昨年からインディカーで戦って来た中で、最もグリップしないマシンでした」
エリック・バークマン|HPD社長
「ストリートレースは本当にエキサイティングだ。今日のレースは、その中でも非常に内容の濃いものだったと思う。若く、才能に恵まれたドライバーたちが、思う存分にレースを戦っていた。序盤のフルコースコーションで作戦が二分され、カナダ人ドライバー2人がトップを争う展開になると、サーキット全体がエキサイトしているのが感じられた。最終的にビッグチームのドライバーたちが上位を占めたが、例えばパトリックは、すばらしい戦いぶりをレースを通じて続けたし、彼女のほかにも数多くのドライバーたちが輝きを放つレースを見せてくれた。次戦のエドモントンも今回と同様に激しい戦いになるだろう」
