ルイス・ハミルトンとダニエル・リカルドが予選タイムバトルで開幕からこれで3回チームメイトに先行、濡れた上海ではふたりにひとつの“共通点"があった。

 それはウエット路面でのコーナリングラインだ。ドライの時には誰もがアウト~イン~アウトをベースにする。が、土砂降りの時にはアウト~アウト~アウト"に修正、バンク角度によってイン側にたまった水量を避けようとする。ふたりはユニークというか、コーナーによってミドル~ミドル~ミドルの“センター・ゾーン"のラインを描き、アウトでもインでもないところを選びながら通過。

 もちろんそう選択できるマシン・レスポンスが備わっていたからできたことだ。けれどもQ1からQ3にかけて常に雨量が変化、水膜も変化、視界も変化、そのなかで人と違うラインを見抜いて行ったふたりの動態視力はスゴイと言わざるを得ない。

 ハミルトンのPPラップ、ウエットになった初戦と第2戦のリプレイをまた見るような気がした。オンボードカメラには一見、ステアリング修正が少ないように映ったが、ゆっくりと切る操作には手のひらで路面感触をつかみ、あれ以上でも以下でもない最適な速さ(遅さ)と角度で次々に抜ける美しさがあった。いくつかのコーナー出口ではセンチメートル単位のライン修正プレーがあったが、その瞬間をまるで予知していたかのように彼は必要最小限のコントロールをしただけだった。
 リカルドのオンボードカメラ映像は1周まるごとはなくても、彼のラインワークにハミルトンとの共通点を感じた。しかし、雨がらみ予選が開幕からこれほど続くシーズンも珍しい。新PUのとてもデリケートなドライバビリティ(と回生ブレーキング)を、コクピットでしっかりコントロールした最前列のふたり。ショックを感じたのは2列目のチームメイトふたりに他ならない。金曜夜ミーティングで互いのデータ情報を見れば見るほど、むくむくとライバル心が芽生えてきて当然。個人的には開幕前からフェラーリのふたりより、メルセデスとレッドブルの“仲良しペア"の方に注目してきた。4戦で3勝1敗、ニコ・ロズベルグもさることながら4冠王セバスチャン・ベッテルはこれを深く受け止めているに違いない。

 レッドブル・ルノーもフェラーリも新PU開幕ファイナルバージョンで臨み、戦力差をこのコースで詰めてきている。フェラーリ勢の他2チームとも直線速度が上昇、軽量化と最新ソフトウェア効果が確認できる。とはいえ彼らがトップをひた走る今のメルセデス・チームを戦力的に脅かすレベルにはまだない。参考までに全周回トップラン記録としては92年にウイリアムズ・ルノー勢が開幕5戦で続行、これをくい止めたのがモナコGP残り8周逆転のアイルトン・セナである。

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