「燃料が1周分、足りなかった」(可夢偉)
「セーフティカーが出た瞬間、無言になりました」という可夢偉。別にエンジニアが燃費の計算を間違ったわけでもなく、可夢偉のドライビングが燃費に厳しかったわけでもない。理由は「レースではトップから1周遅れになることを想定して、レースの周回数より1周少ない56周分の燃料しか搭載しなかったのに、終盤にセーフティーカーが導入されて、同一ラップに戻らなければならなくなったからです」と、可夢偉は説明する。
スタートを無難にこなした可夢偉は2回ストップ戦略を採り、淡々とレースを進めていた。15周目に1回目のピットストップを行うと、20周目にはチームメイトのマーカス・エリクソンを抜き、21周目にはマックス・チルトン(マルシャ)をオーバーテイク。「レースではマルシャ以外のチームと戦いたい」とレース前に語っていたとおり、レース後半はザウバーのエステバン・グティエレスと同じようなタイムを刻んで、コース上で競い合っていた。
しかし、そのグティエレスがパストール・マルドナド(ロータス)に追突されてセーフティカーが出動。可夢偉とチームが立てたレース前のプランは見事に崩れてしまう。
「レースが再開されてからは、燃料をセーブするために、ストレートでは半分以上スロットルペダルから足を上げていた」と言う可夢偉のペースは、セーフティカー前の1分42秒台から、1分44~46秒台へと大きく後退。そのため、47周目にはチルトンにオーバーテイクを許すと、そのチルトンに付いていくこともできず、最後は1分47秒台にまでペースを落として、完走を目指して走るしかなかった。
「おまけに、最後にマクラーレンが止まってしまったために、チルトンの順位が1つ上がって13位になり、コンストラクターズ選手権で再びマルシャに逆転を許してしまったのが残念」
それでも、可夢偉は燃費の問題以外はトラブルフリーで、レースディスタンスを走り切った。
「それが今回のグランプリの最大の収穫。次の中国ではアップデートパーツも入ってくるから、楽しみ」
上位勢の戦いも熱かったが、その後方で可夢偉も必死に戦っていたバーレーンGPだった。